開幕から20試合連続で本塁打をマーク
マリナーズは現地時間16日(日本時間17日)、本拠地で行われたインディアンス戦に2-4で敗れるも、8回裏にジェイ・ブルースがソロ本塁打をマーク。これで開幕からの連続試合本塁打を20試合に更新した。
今年のマリナーズは開幕から毎試合欠かさずに本塁打を記録しており、2002年にインディアンスがマークした14試合連続のメジャー記録を更新。その後も勢いは衰えることなく、記録を伸ばし続けているのだ。
今季ここまで20試合を消化し、放った本塁打は実に42本。162試合で換算すると、シーズン340本塁打という驚異的なペースになる。昨季ヤンキースが記録した267本塁打のメジャー記録を大きく更新する勢いだ。
なお、今季はマリナーズに限らず、メジャー全体で本塁打数は増加傾向。ほかにもドジャースが315本塁打、ブリュワーズも306本塁打ペースとなっており、現時点で3チームが300本塁打を超える本塁打ペースを維持している。
投手にとっては史上最も厳しい年に?
今季のメジャーリーグでは、現地16日現在で合計673本塁打が飛び出している。これはシーズン換算で6388本塁打ペース。シーズン過去最多は記憶に新しい2017年で6105本塁打だったが、これをも上回るすさまじい勢いである。
ちなみに、昨季は5585本塁打と減少していたが、1年でその数字は大きく反発。投手にとってはメジャー史上最も受難ともいえるシーズンになるかもしれない。
再び今季のマリナーズの本塁打記録に話を戻そう。今季は開幕から全試合で本塁打を放っているが、いずれこの連続記録がストップすることは疑いようがない。もちろん、過去に全162試合で本塁打を放ったチームなどメジャー史上皆無である。
それでは、“本塁打を放った試合数”のメジャー記録というと一体どれくらいだろうか。シーズン162試合制になって以降、最も多いのが2012年と2018年にヤンキースが記録した131試合。実に5試合中4試合以上のペースで本塁打を放っていたことになる。今季のマリナーズには、この記録の更新にも期待がかかる。
思い返してみると、日本時間3月22日の夜中。イチローが引退会見でこんなことを語っていた。
「頭を使わなくても、できてしまう野球になりつつある」。
具体的なことは言っていないが、これは昨今の本塁打が乱れ飛ぶ野球に対しての警鐘であることは明らかで、長打力の偏重によって機動力を用いた戦略的な野球が失われつつあることを懸念していた。
奇しくもマリナーズが好調な打線を背景に躍進を遂げているというのも皮肉な話だが、果たしてマリナーズの2019年はどういった結末を迎えるのか。継続中の記録はもちろんのこと、その先まで目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)