貴重な機動力
開幕前はAクラスに推す評論家も多かったDeNAだが、現在は8つの借金を抱え、首位巨人から7ゲーム差の最下位に低迷している。その要因は、投手陣の不振と、つながりを欠く打線にあったと言えるだろう。
チーム防御率3.99はリーグ5位。開幕から自慢のセットアッパー陣が打ち込まれるケースが目立つ。先発投手陣も規定投球回に達しているのは左腕エースの今永昇太だけ。しかし、ここに来て浜口遥大が約1カ月ぶりの復帰登板を完封で飾り、ドラ1上茶谷大河にようやく初白星、ドラ3ルーキー大貫晋一も安定した投球を続けている。
つながりを欠いていた打線も、土日の2試合で合計18得点を挙げる爆発力を見せた。その2試合では4本の本塁打も飛び出したが、見逃せないのは1番を打つ神里和毅が2個の盗塁を決めたこと(土日に1個ずつ)。
いずれの盗塁もリードした場面に先頭打者として出塁。後続のタイムリーでホームを踏み、リードを広げる貴重な得点になった。今季DeNAが記録した盗塁は、この2つを含めていまだ9個だけ。昨季チームトップの17盗塁を記録した桑原将志が打撃不調でいまだ盗塁「0」というのが響いているが、チーム全体で走る意識が見えてこないのも事実だろう。盗塁5個の神里以外に複数の盗塁を記録している選手は皆無だ(中井、石川、大和、柴田が1つずつ)。
中軸を生かすも殺すも神里次第!?
打線の中軸に目を向けると、昨季の本塁打王ソトは、ここまで12本塁打を放つも、5月は1本のみの打率.205と低迷。ロペスもチャンスで凡退するシーンが目立っている。2017年に首位打者に輝いた宮崎敏郎も一時の不振は脱却したが、打率はいまだ「.239」(5月は打率.375)だ。
レギュラー野手では唯一、打率を3割にのせている筒香嘉智の前後を打つ打者が期待を裏切っている状況だが、先週末のヤクルト3連戦では中軸が打線復調の兆しを見せていた。
その中軸が走者をかえすためにも、1番神里の出塁率はカギとなる。各チームのリードオフマンと比べても、現在の出塁率.318は、決して合格点とは言えない数字。中軸の破壊力はリーグ屈指のものがあるだけに、神里の出塁率が向上し、その足でダイヤモンドを駆け回る回数が増えていけば、必然的に得点力もアップしていく。
2年目のリードオフマンが“起爆剤”となれるのか!? その活躍如何がDeNA逆襲のカギを握っているかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)