日本人最速の通算100号
27日に発表されたオールスターの中間発表で、昨季のパ・リーグMVP、山川穂高が最多の得票数を集めた。
開幕戦で満塁本塁打を放ったのを皮切りに、特大アーチを連発。5月に入ってもその勢いは衰えず、5月12日の日本ハム戦では日本人史上最速での通算100号本塁打を達成し、地元・沖縄で行われた5月21日のソフトバンク戦では今季最速となるシーズン20号本塁打をマーク。この時点で年間67本塁打ペースというハイペースで、2年連続の本塁打王はもちろん、シーズン本塁打数の新記録達成にも期待が寄せられている。
山川はシーズン50本塁打を目標に掲げて開幕を迎えたが、2001年以降、シーズン50本塁打の達成者は4人で延べ6回。長年超えられなかった王貞治のシーズン55本塁打の壁を超えた2013年のバレンティン以来、50本以上の本塁打を放った選手はいない。
ちなみに、歴代のシーズン50本塁打達成者のペースはどうだったのか。2001年以降に50本以上の本塁打を記録した延べ6人のシーズン20本塁打時の達成ペースは以下のとおり。
▼ ローズ(近鉄)
・2001年 55本塁打
シーズン20本塁打達成日:6月9日(60試合目)
前半戦本塁打数:34本(88試合)
後半戦本塁打数:21本(52試合)
・2003年 51本塁打
シーズン20本塁打達成日:6月1日(51試合目)
前半戦本塁打数:30本(81試合)
後半戦本塁打数:21本(59試合)
▼ 松井秀喜(巨人)
・2002年 50本塁打
シーズン20本塁打達成日:7月25日(82試合目)
前半戦本塁打数:18本(73試合)
後半戦本塁打数:32本(67試合)
▼ カブレラ(西武)
・2002年 55本塁打
シーズン20本塁打達成日:7月2日(65試合目)
前半戦本塁打数:25本(76試合)
後半戦本塁打数:30本(64試合)
・2003年 50本塁打
シーズン20本塁打達成日:6月23日(67試合目)
前半戦本塁打数:28本(81試合)
後半戦本塁打数:22本(59試合)
▼ バレンティン(ヤクルト)
・2013年 60本塁打
シーズン20本塁打達成日:6月12日(59試合目)
前半戦本塁打数:32本塁打(82試合)
後半戦本塁打数:28本塁打(62試合)
▼ 山川穂高(西武)
・2019年 20本塁打
シーズン20本塁打達成日:5月21日(43試合目)
※2019年5月26日終了時点
多くの選手が60試合を超えたところで20本塁打の大台に乗せているのを見ると、やはり山川のペースが驚異的なことがわかる。
過去の選手たちを見る限りでは、試合数が少なくなるシーズン後半は順位争いも熾烈になり、マークが厳しくいことも多く、打率自体は上がっても本塁打数は減ってしまうケースが目立った。2002年の松井秀喜とカブレラは後半戦に本塁打を量産しているが、この年は6月に日本と韓国でサッカーW杯が開催された関係で6月の試合数が少なく、後半戦の試合数が例年よりも多かったことも影響している。
そんななかで、異彩を放つのが2013年のバレンティンだ。前半戦から好調で打率.313をマークしていたが、後半戦になるとペースを上げて打率.352を記録。長打率は前半戦の.740から.829に上げて、シーズン新記録となる60本塁打を達成した。8月には月間18本塁打という、プロ野球新記録まで打ち立てている。
バレンティンのペースを見ると、山川が年間本塁打数の新記録を達成するには、暑さがピークを迎える夏場の活躍が必要不可欠といえそうだ。ちなみに山川の昨季は、5月と6月に本塁打と打率がやや落ち込み、8月も9本塁打は放ったが、打率.217と苦しんだ印象。ここから疲れも見え始める夏場にかけて、どれだけ数字を伸ばせるかの注目したい。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)