近年のドラフト1位コンビが躍動
昨季は最下位に終わった阪神が好調だ。
5月を終えた時点で28勝23敗と貯金は5つ。首位の広島と4ゲーム差の2位につけている。上位争いに加わってきたその要因のひとつが、ドラフト1位コンビの活躍である。
2018年ドラフト1位、つまり今年の“ドラ1位ルーキー”である近本光司は、開幕からスタメンで出場。一時は不振でスタメンから外れたものの、復帰してからは勢いが止まらない。打率.304(204-62)はリーグ10位で、15盗塁はリーグ単独トップという堂々たる成績だ。今ではリードオフマンとして完全に定着した感がある。
また、2016年のドラフト1位入団である大山悠輔も開幕から4番固定。ここまで打率.272(217-59)、9本塁打、32打点となかなかの結果を残している。
入団年度こそちがうがふたりではあるが、同じ1994年生まれの24歳。まだまだ若く伸び盛りの選手だけに、どこまで力をつけていくのか非常に楽しみである。
ドラフト1位入団の近本と大山がチームを引っ張っているなか、忘れてはならない人がもうひとり。2015年のドラフト1位・高山俊も、久しぶりに存在感を見せた。
伝統の一戦で史上初の代打サヨナラ満塁弾!
高山は開幕一軍メンバーにこそ名を連ねたが、スタメンで起用されることはなくわずか1週間で登録を抹消された。その後、ファームで打率.297(74-22)と結果を残すと、4月30日に再び一軍へと昇格。だが、代打での起用がほとんどだった。
1日1打席の勝負ではなかなか結果を残せず、5月26日の時点で打率.174(23−4)と苦しんでいた。そんな高山が、5月29日の巨人戦で魅せる。
4-4の同点で迎えた延長12回裏。一死満塁の場面で打席に入った高山は、カウント2ボールからの3球目をフルスイング。阪神ファンで埋まるライトスタンドへ飛び込む、値千金の代打サヨナラ満塁本塁打を放ち試合を決めた。ちなみに、“伝統の一戦”とも呼ばれる阪神と巨人の試合において、代打満塁サヨナラ本塁打は史上初の出来事でもあった。
阪神の外野陣を見ると、センターには近本がしっかり収まった。しかし、両翼は糸井嘉男と福留孝介のベテランがいまだ健在。ともに「休養日」があるものの、スタメンで起用されることがほとんどである。中谷将大や江越大賀といったところも結果を残せておらず、世代交代は進んでいない。
チームとしても、糸井と福留にいつまでも頼るわけにはいかない。どこかのタイミングで、世代交代を行う必要がある。もちろん、高山にだってチャンスはあるはずだ。かつてのドラフト1位であり、ルーキーイヤーは新人王に輝いた好打者が、まだまだ若い年齢のいまから代打専門に収まってしまうのはあまりにもったいない。
当然、近本や大山という同じドラフト1位の野手が結果を残しているなか、ひとりだけ遅れをとるわけにはいかないだろう。巨人戦で放った起死回生の一発をきっかけとし、レギュラー争いに名乗りをあげたい。