コラム 2019.06.21. 11:22

原・巨人よ、どこへ行く? ~捕手4人制からの適材適所~

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連載『原・巨人よ、どこへ行く?』~第3回~


 交流戦に入って、好調の原巨人。その要因は多岐にわたっているが中でも注目を浴びているのが、炭谷銀仁朗の存在だ。交流戦前51試合で先発マスクは16試合にとどまったが、交流戦に入ると20日終了時点で、15試合中7試合に先発出場。その存在感は日に日に増している。

 中でも、原監督が称賛したのは6月9日の対ロッテ戦だった。腰の違和感から戦列復帰したエースの菅野智之と初めてバッテリーを組むと、決して完調とは言えない菅野を巧みなリードで白星に導く。「小林もリード面において勉強しているが、(現時点では)銀ちゃんの方が一枚半上回っている」と指揮官は、初めて2人の格差に言及した。その3日前の楽天戦でも、伸び悩みの続いていた「元ドラ1男」桜井俊貴の先発初勝利に貢献。中でも従来の速球主体から緩いカーブに鋭い内角攻めを駆使したリードが桜井の新たな可能性を広げたと言っていいだろう。

 原が監督復帰を決めると、最初に着手したのがセンターラインの強化だった。中堅に広島から丸佳浩を獲得、小林誠司以外に手薄な捕手に西武から炭谷を迎えた。遊撃に坂本勇人、二塁には吉川尚輝が収まれば打線でもレベルアップが図れる。あいにく、吉川尚は早々に故障で戦列を離れたが、当初の青写真の8~9割は達成された。次に残された問題は正捕手を誰にするか?である。

 実績なら炭谷が最もあるが、小林はリーグ屈指の強肩捕手(今季の盗塁阻止率.643は12球団1位)で菅野や山口俊らエースクラスの信頼が厚い。ただし、打撃が弱いのが悩みの種。これに対して第三の捕手と目された大城卓三は勝負強い打撃が売り物で長打力もある。ここへ、今季は阿部慎之助まで捕手再転向を表明して出場の機会をうかがった。つまり、異例の4人態勢での船出となったわけだ。

 本来なら守りの要であり、真っ先に固めなければいけない正捕手を指揮官はあえて決めなかった。阿部の代打要因は開幕直後に決断も、その後しばらくは炭谷以下3選手の適性を見ながら試行錯誤を繰り返す。その直後に仰天コンバートを断行して勝負に打って出る。大城の「5番・一塁」起用である。


厳しい競争原理


 開幕時は一塁・岡本和真、三塁にC・ビヤヌエバでスタートした。だが新外国人の調子が上がっていかないと5番以下の打線の破壊力もない。この思い切ったコンバートは現在のところ、チームのウィークポイントを解消して活性化を促したと言えるだろう。

 20日終了現在(以下同じ)、大城の打率は「.280」。今ではクリーンアップに欠かせないピースに成長した。さらに加えるなら炭谷の打率も「.257」で、ここ数年2割そこそこの打率しか残せていない小林も「.269」をマークするなど、ライバル同士の争いは首脳陣の思惑通りになっている。

 落ち着くところに落ち着いた感のある正捕手争いだが、原監督に満足する様子はない。交流戦はパ・リーグ選手の手の内を知り尽くす炭谷の方が小林よりも優位にあることは間違いない。だが、両者を比較して「一枚半」の発言は原監督ならではの高等戦術とも言える。あえて、マスコミを使って小林の発奮を促す。かつて名将と呼ばれた野村克也や森祇晶らもこの手を使ったが、最近の監督は刺激的な発言を好まない。百戦錬磨の指揮官の引き出しは多い。

 不動の4番で一塁と目された岡本でも打順の降格があった。守りでも三塁ばかりか左翼に回ることもある。大城は今でも捕手の練習を欠かさない。超攻撃的なオーダーを考えたときには捕手での再先発もあり得る。そこにあるのは激しい競争原理と幾通りもの多様な戦略だ。

 交流戦で変調を来したライバル・広島に対して、巨人は再び上昇機運を掴みつつある。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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