60本の壁に挑むイエリチ
メジャーリーグも開幕から3カ月が過ぎた。
日本時間の29日時点で最も多くの試合をこなしているマリナーズが86試合、最も少ないタイガースで77試合を消化している。シーズン162試合を戦うMLBにおいて、多くのチームが82試合以上を消化し、シーズンの折り返し地点を迎えた。そこで各選手の現時点の成績から、どのくらいの個人記録がシーズン終了時点で達成可能か探ってみた。
野手の打撃成績から、まずクリスチャン・イエリチ(ブリュワーズ)の本塁打数に注目したい。29本塁打は堂々の両リーグトップで、チームは82試合を消化しているため、シーズン58本塁打ペース。4月下旬から5月上旬にかけ、腰を痛めて欠場していたが、それがなければ60本塁打を超えるペースだったはず。
シーズン60本の壁は意外と高く、過去にはバリー・ボンズ、マーク・マグワイア、サミー・ソーサ、ロジャー・マリス、そしてベーブ・ルースの5人しか達成していない大記録だ。
▼ シーズン60本以上の達成者
73本:B.ボンズ(01年ジャイアンツ)
70本:M.マグワイア(98年:カージナルス)
66本:S.ソーサ(98年:カブス)
65本:M.マグワイア(99年:カージナルス)
64本:S.ソーサ(01年:カブス)
63本:S.ソーサ(99年:カブス)
61本:R.マリス(61年:ヤンキース)
60本:B.ルース(27年:ヤンキース)
60本塁打よりハードルは下がるが、打者にとってシーズン200安打も1つの目標となる数字。現時点で半数の100安打に達しているのは両リーグで合計8人。注目はDJルメーヒュー(ヤンキース)だ。故障者続出のヤンキース打線において、移籍1年目から安打を量産し、チームを引っ張っている。シーズン自己最多はロッキーズ時代の2016年。192安打を放ち、この年は首位打者にも輝いた。昨季はメジャー全体で200安打達成は不在。2年ぶりの大台到達者は現れるのだろうか。
▼ 100安打以上<ア・リーグ>
103安打(82試合)メリーフィールド(ロイヤルズ)
102安打(81試合)ポランコ(ツインズ)
101安打(80試合)ラメーヒュー(ヤンキース)
100安打(82試合)ディバース(Rソックス)
▼ 100安打以上<ナ・リーグ>
102安打(84試合)マルテ(Dバックス)
102安打(83試合)F.フリーマン(ブレーブス)
101安打(82試合)アレナド(ロッキーズ)
100安打(84試合)ベリンジャー(ドジャース)
打点部門ではジョシュ・ベル(パイレーツ)が現在、両リーグトップの70打点でシーズン143打点ペース。シーズン140打点以上は2009年(プリンス・フィルダー、ライアン・ハワード)を最後に出ていない。10年ぶりの大台到達はあるだろうか。
最後に走塁部門から、50盗塁を狙える選手をピックアップ。近年のフライボール革命などで本塁打の価値が上がり、ハイリスクの盗塁数は減少傾向にある。そんな中、今季50盗塁を狙えそうなのはアダルベルト・モンデシー(ロイヤルズ)ひどりだけだろう。
かつてドジャースなどで活躍したラウル・モンデシーの息子は、今季出塁率が僅か「.302」ながら両リーグ断トツの27盗塁をマーク。盗塁失敗も3回だけと、そのセンスは光るものがある。現在脚のケガで負傷者リスト入りしているが、復帰も間近。出塁率アップで大台突破、そして自身初の個人タイトル奪取を目指す。
文=八木遊(やぎ・ゆう)