オリックスの救世主になれるか?
6月30日に中日とオリックスの間でトレードが行われ、松井雅人・松井佑介と松葉貴大・武田健吾の交換トレードに加え、来日2年目で二軍調整が続いていたモヤの金銭トレードも発表された。
来日1年目の昨季は、一軍で46試合に出場して打率.301、5本塁打という好成績を残していたモヤだが、当時から外国人枠の関係で出場機会が限定されていた。今季も6月30日時点での一軍出場は、わずか7試合のみ。二軍での打率.315はウエスタンリーグ1位と結果を残していたが、ビシエドらをはじめとした同じチームの助っ人たちの厚い壁に阻まれて一軍には上がれずにいた。
かねてから長打力のある選手を欲していたオリックスにとって、モヤは願ってもない存在。入団が決まると、オリックスはモヤに背番号1を用意し、わずか3日後の7月3日は6番ファーストでデビュー。モヤもこの期待に応え、第1打席で本塁打を放つと、移籍3戦目となる5日には4番に座り、8日の試合では複数安打を記録するなど、今後の活躍に期待がかかる。
中日から金銭トレードで移籍した20代の助っ人外国人選手ということで、モヤの入団決定以来、「ブライアントの再来」と称する声が日に日に高まっているが、近年トレードで移籍した助っ人外国人の成績はどうだったのか。
エスコバーが新天地で奮闘
振り返ったのは、交換・金銭を問わずにトレードされた外国人選手のトレード前と後の成績、そして翌シーズンの成績だ。調べてみると、過去20年(1999年~2018年)で6選手が該当した。
▼ 2000年
・フランクリン(日本ハム ⇒ 阪神)
移籍前:5試合 打率.200(15-3)0本塁打0打点
移籍後:8試合 打率.172(29-5)2本塁打6打点
※同年で退団
▼ 2002年
・エバンス(阪神 ⇒ 西武)
移籍前:一軍出場なし
移籍後:78試合 打率.252(242-61)15本塁打45打点
※同年で退団
▼ 2011年オフ
・オビスポ(巨人 ⇒ 日本ハム)
移籍前:14試合登板 2勝3敗1H 防御率5.21
移籍後:2試合登板 0勝0敗 防御率54.00
※同年で退団
▼ 2012年
・ロメロ(巨人 ⇒ ソフトバンク)
移籍前:1試合登板 0勝0敗 防御率0.00
移籍後:3試合登板 0勝0敗 防御率10.13
※同年で退団
▼ 2017年
・エスコバー(日本ハム ⇒ DeNA)
移籍前:14試合登板 1勝2敗 防御率3.44
移籍後:27試合登板 1勝3敗2S7H 防御率4.31
翌シーズン:53試合登板 4勝3敗13H 防御率3.57
・クルーズ(巨人 ⇒ 楽天)
移籍前:9試合 打率.156(32-5)0本塁打3打点
移籍後:13試合 打率.162(69-11)0本塁打5打点
※同年で退団
現在もDeNAのブルペンで活躍しているエスコバーの奮闘ぶりが目立つが、そこにはラミレス監督が同郷であり、コミュニケーションをとりやすい環境であることもあるだろう。全体的には、トレードされた外国人の成績は思わしくないことの方が多かった。
野手ではエバンスが1年奮闘したが、残念ながら翌年の契約を勝ちとることはできなかった。果たしてモヤは、この悪い流れを断ち切り、オリックスの救世主となれるだろうか。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)