エンゼルスを引っ張るスーパースター
現在のメジャーリーグを代表するスーパースターであり、日本では大谷翔平の同僚としてもおなじみのマイク・トラウト。エンゼルスを牽引する男の勢いが止まらない。
現地時間13日のマリナーズ戦でも本塁打を放ち、これが今季の30号。球宴をはさみ、ここ7試合で8本目の一発と量産体制に入っている。
今季ここまでの成績を見ると、打率.306・30本塁打・75打点。2015年にマークした自己最多の41本塁打、そして14年の111打点を更新する可能性も高そうだ。通算本塁打も270まで積みあがっており、順調にいけば来年の序盤には300本に到達するだろう。
トラウトのすごいところはパワーだけではない。守備と走塁も超一流だ。特に走塁に関しては、新人王に輝いた2012年に49盗塁で盗塁王に輝くなどセンス抜群。通算盗塁数はすでに197に上る。今季はここまで8盗塁と数字は伸びていないが、200盗塁達成は時間の問題だろう。年齢的にも来月で28歳とまだ若く、通算300盗塁も30代前半のうちに達成するのではないか。
ウィリー・メイズが打ち立てた大偉業
そんなメジャー史上でも屈指のプレイヤーであるトラウトに期待したいのが、「生涯トリプルスリー」の快挙である。
長いメジャーリーグの歴史の中でも、これを達成した選手はわずかに1人。1951年から73年までプレーした、ウィリー・メイズだけである。
メイズの通算成績は打率.302・660本塁打・338盗塁。35歳以降は一度も打率3割を超えることはなかったが、それまでの貯金が生きた形で偉大な記録を打ち立てた。
まだ27歳のトラウトに対して、通算成績について語るのは早計ではあるが、トラウトの通算本塁打数と盗塁数もメイズのそれと同じくらいになるのではないだろうか。唯一達成が困難だとすれば、やはり打率になるだろう。
現在のトラウトの通算打率は.307。本塁打や盗塁と違って増減する項目だけに、生涯3割を維持できるかどうかがポイントとなりそうだ。
さすがに“3つ”となると難易度が高いことが分かったが、それならば「ダブルスリー」だとどれほどの選手が達成しているのだろうか。こちらも調べてみた。
「3割・300本」は27人。現役ではアルバート・プホルス(エンゼルス)にミゲル・カブレラ(タイガース)、ロビンソン・カノ(メッツ)の3人がこの数字を維持している。ただし、プホルスは.301、カノも.303と打率3割台のキープがやや難しくなってきている。
また、「3割・300盗塁」は36人。現役選手でこの数字を残している選手はいないが、今春で現役を退いたイチローは通算.311・509盗塁という成績だった。ちなみに、近年で最もトリプルスリーに近づいたのがデレク・ジーターで、打率.310・260本塁打・358盗塁が最終成績だった。
最後に、「300本・300盗塁」が最も少なく、これまで8人しかいない。ジーター以上に惜しかったのがバリー・ボンズだろう。通算成績は打率.298・762本塁打・514盗塁。本塁打と盗塁数は文句なしだったが、打率がたった“2厘”足りずにゴッドファーザーのメイズに並ぶことができなかった。
果たして、トラウトは通算打率3割の壁を打ち破り、メイズに肩を並べることはできるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)