リーグの3割打者7名のうち3人が中日勢
オールスターブレイクを挟み、現在6連勝中と好調の中日。特に投打のバランスの良さが目につき、投手陣は6試合で11失点と好調。打線も6試合で24得点とまずますの成績で、それも6試合で生まれた本塁打は2本のみと、一発に頼らない“つなぎの野球”で得点を挙げているのも印象的だ。
もっとも、今季の中日が記録しているチーム本塁打は47本。これは12球団で見ても最少である。広いナゴヤドームを本拠地にしていることを差し引いても、長打力不足は否めない。しかし、そんななかで打線を支えているのが、3人の3割打者の存在だろう。
まずは現在のところ打率.319でセ・リーグのリーディングヒッターをひた走る高橋周平。今年は自身初のオールスターにも選ばれるなど、今やチームに欠かせない存在となった。
ただし、高橋は16日の阪神戦で右手を負傷。右手小指の靭帯断裂で登録を抹消され、手術も視野に入れて今後の治療方針を立てていくという。手術となれば当然ながら長期離脱は避けられず、今後の決断にも注目が集まる。
その高橋に次いでリーグ2位の打率を残しているのが、昨年の首位打者であるダヤン・ビシエドだ。
来日4年目の助っ人は、昨季もオールスター後に打率.402という驚異的な成績を残したことでも知られる夏男。今季も同じようにここから状態が上がっていけば、一気に首位打者候補の本命に浮上してくることだろう。
そして、中日3人目の3割打者が打率6位につけている大島洋平。7月に入ってやや調子を落としていたが、ここ5試合は打率.400と完全に復調モード。これまでにも打率3割を3度記録しているように、実績としては十分だ。
“隠れ首位打者”候補も!
現在、セ・リーグ全体で3割打者は7名いるが、上述の通りそのうちの3人が中日勢。もし最終的に打率トップ3を同一球団の選手が占めるとなれば、1960年の大毎以来で実に59年ぶりの快挙となる。
打率トップの高橋に長期離脱の可能性があるということで、その快挙への挑戦にも暗雲が垂れ込めているが、実はまだ希望はある。現時点では規定に20打席ほど足りていないものの、打率.311をマークしているのが平田良介だ。
今季は肉離れで一時離脱があったものの、6月20日から戦列に復帰するとさすがの存在感を発揮。7月に入ってからはここまで10試合で打率.385と調子を上げている。昨季もチームメイトのビシエドや広島の鈴木誠也といったところとシーズン終盤まで首位打者争いを演じていた実力者だけに、こちらも“隠れ首位打者”候補として注目したい。
シーズンも折り返し地点を過ぎ、残り60試合ほどとなったプロ野球。苦しんだ前半戦からの逆襲を目指す中日にとって、気になるのはまずは高橋周平のケガの具合がどれほどなのか。そして、昨年の首位打者・ビシエドは今年も夏場に調子を上げてくるのか。さらには大島・平田の実力者コンビの浮上はあるのか……。彼らの働きぶりが、チームの命運を握っていると言っても過言ではない。
上昇気流に乗りつつあるチームのなかで、活発な打撃陣から目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)