奮闘する打線
2年連続の世界一を目指すレッドソックスだが、目下のところ59勝48敗で首位ヤンキースから9ゲーム差の地区3位と苦しんでいる。
インディアンス、アスレチックス、レイズなどと2枠を巡るワイルドカード争いには絡んでいるが、昨季ほどの安定感は感じられない。何と言っても投手陣の不調が大きい。チーム得点数は両リーグトップの「626」に上るが、失点数は同ワースト9位の「547」。連覇に向け、投手陣の立て直しが急務となっている。
一方でレッドソックス打線の勢いは開幕からとどまるところを知らない。注目したいのが若き3人の打者が開幕から積み重ねている「得点」の数だ。
昨季ア・リーグMVPに輝いたムーキー・ベッツが現在、両リーグトップの97得点をマーク。ラファエル・ディバースが同2位の86得点。さらにザンダー・ボガーツが同3位の85得点と、この3人がメジャー全体の3位までを占めている。
▼ ムーキー・ベッツ
105試合:打率.284 18本 56打点 97得点
▼ ラファエル・ディバース
104試合:打率.329 21本 82打点 86得点
▼ ザンダー・ボガーツ
103試合:打率.316 23本 81打点 85得点
チーム162試合換算だと、ベッツが146得点、ディバースは130得点、ボガーツが128得点ペースである。ここで1つの目安となるのが「シーズン130得点」という数字だ。
近年は減少傾向
メジャー史上、延べ263選手がシーズン130得点を達成しており、決して珍しい記録ではない。しかしその半数近くが1800年代の古い記録。1894年のオリオールズに至っては、シーズン138試合だったにもかかわらず、6選手が大台を突破している。
1900年代に入ると、投高打低の時代となり、シーズン130得点を記録する選手の数は大きく減ったが、1920年以降の約20年間は再び増加。その後、減少傾向に転じ、1990年代半ばの打高投低時代に再び増加したが、ここ10年ほどはシーズン130得点の難易度は上がっている。
▼ 年代別130得点達成選手数
~1899年:117人
1900~09年: 4人
1910~19年: 4人
1920~29年: 35人
1930~39年: 41人
1940~49年: 9人
1950~59年: 4人
1960~69年: 5人
1970~79年: 4人
1980~89年: 6人
1990~99年: 17人
2000~09年: 15人
2010~ : 2人
現役選手で130得点を達成したことがあるのは3人だけ。アルバート・プホルス(エンゼルス)が2003年と04年の2度、カーティス・グランダーソン(マーリンズ)が2011年に、チャーリー・ブラックモン(ロッキーズ)が2017年に、それぞれ達成している。
チームメートが同じシーズンに達成することが難しいのは言うまでもない。1999年にインディアンスのロベルト・アロマーとマニー・ラミレスが達成したのが最後。3人の同時達成なら1937年のヤンキース(ジョー・ディマジオ、レッド・ロルフ、ルー・ゲーリッグ)までさかのぼらなければいけない。
レッドソックスが誇る若き3人は、82年前の記録に近づくことはできるだろうか。得点という意味では、1~3番を打つ彼らの出塁率はもちろん、彼らの後ろを打つ打者も重要な意味を持ってくる。残り55試合、どれだけの数字を積み上げることができるのか、順位争いと共に注目していきたい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)