コラム

令和の高校野球はより“選手本位”に…

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“次の100年”に向けた議論を…


 令和元年、夏の高校野球が盛り上がっている。

 本来は教育の一環であるはずの部活動だが、高校野球に関してはその次元を超え、一大興行として日本に根付いている。多くの選手が聖地・甲子園を目指し、出場すれば学校だけでなく地域が興奮に包まれ、時に国民的ヒーローを生む。学校関係者でなくとも、選手たちのプレーに歓喜し、時に涙を流す。


 そんな国民的行事となった高校野球にも課題は決して少なくない。一つは、選手の健康をいかに守るかだろう。

 特に“投手の酷使”については毎年のように繰り返し議論されている。過去には多くの好投手が甲子園で酷使され、その将来をつぶされてきた。甲子園が最終目標という選手にとっては、それが本望という者もいただろう。しかし、世論の問題提起などもあり、高野連は球数制限のルール化を真剣に考え始めている。


投手を守るために


 プロ野球(NPB)を国内野球ヒエラルキーの頂点とすれば、高校野球でもより多くの投手を育成すべき段階にある。

 NPBには1000人近い選手が所属しているが、そのうち約半数が投手。それに比べ、高校野球ではベンチ入りする選手の半数が投手というチームはほぼ皆無。他のポジションをこなす投手が大半だとしても、投手の数は極めて少ないといわざるを得ない。

 そこで、より多くの投手を育成し、従来の“エースに頼る”方針から脱却するためにも、球数制限もしくは投手の起用制限は必須とすべきだ。具体的には、30球ごとに1日の休養を強要するなどだろう。150球投げれば、次の登板には中5日とするなど、高野連主導でより具体的なルール作りを模索すべきだろう。


野手の健康面も心配


 また、選手の健康を守るというのは投手に限ったことではない。特に炎天下で行われる夏の甲子園では暑さ対策は必須だ。

 甲子園では、2018年の選抜からタイブレーク制が導入された。これを延長10回から導入することで投手だけでなく、野手の負担も軽減することができる。

 さらに、暑さ対策として甲子園以外のドーム球場での開催も模索すべきだろう。具体的には各出場校の初戦は甲子園で開催し、2戦目以降を大阪ドームで開催。準決勝と決勝を再び甲子園に戻すといった措置も、検討する価値はあるだろう。日本の夏は年々気温が上昇しており、真夏の炎天下での連戦は選手への負担が大きすぎる。


より“選手本位”な戦いへ


 選手の健康面以外にも課題はある。負ければ次がない高校野球では、時に審判の判定が球児の運命を分けることもある。

 プロ野球とは違い、高校野球はあくまでもアマチュア野球である。審判員はボランティアとしてその重責を担っている。その審判員の負担を減らす意味でも、「リクエスト制度」を一刻も早く導入すべきだろう。円滑な試合進行を妨げるという声もあるが、1試合に2回までなど、リクエストの回数に制限を設ければいい。“誤審”が球児の野球人生を終わらせることがないルール作りは必要だろう。

 大正、昭和、平成の3つの時代を経て、高校野球は令和でどのように変化していくのか。様々な議論を続けていくことで高校野球がより選手本位になっていくことが求められている。


文=八木遊(やぎ・ゆう)
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