快進撃を支えるセットアッパーたち
ア・リーグ東地区で首位を快走するヤンキースは現地時間7日(日本時間8日)、敵地で宿敵・レッドソックスと対戦。先発したJ.A.ハップが7回途中まで無失点の好投を見せると、以降は小刻みに4人の投手をつぎ込んでリードを守り抜き、5-1で完勝。4連戦の対戦成績を1勝1敗のタイとしている。
この日は先発したJ.A.ハップが強力打線を相手に7回途中まで無失点と好投。7回一死からはアダム・オッタビノがバトンを受けて2つのアウトを奪うと、8回からはトミー・カンリーにスイッチ。1つのアウトを奪った後、連打を浴びてピンチを招いたところで今度は左腕のザック・ブリトンへ。後続を三振と外野フライに斬ってピンチを切り抜け、9回は守護神のアロルディス・チャプマンが1点こそ失ったものの、リードは死守した。
この1勝により、ヤンキースの今季成績は93勝50敗。勝率.650はアストロズと並んでメジャートップの数字だ。この快進撃を支えている大きな強みといえば、上でも触れた救援陣だろう。
今年もクローザーとして君臨するチャプマンは、変わらぬ安定感でリーグトップの36セーブをマーク。最後を締める不動の存在がいるというのは大きいが、なかでも今季はその守護神へと繋ぐセットアッパー陣の貢献度がとにかくすごい。そこで、今季のメジャーリーグにおける「ホールドランキング」をご覧いただきたい。
▼ MLB全体・ホールドランキング
29H ザック・ブリトン(ヤンキース)
28H アダム・オッタビノ(ヤンキース)
28H クレイグ・スタメン(パドレス)
27H ジェーク・ディークマン(アスレチックス)
27H ライアン・プレスリー(アストロズ)
26H トミー・カンリー(ヤンキース) ※ほか2人
(現地時間9月7日終了時点)
これはリーグ限定でなく、MLB全体でのホールド数のランキングだ。ご覧の通り、上位6名のなかにヤンキースの投手が3名もランクイン。彼らが今季のヤンキースの強さを支えていることは間違いない。
史上初の快挙も…
ヤンキースが誇るセットアッパー3人のうち、ブリトンとオッタビノの2人は30ホールドが目の前に迫っており、達成は確実だろう。カンリーも残り19試合で4ホールドなら可能性は高そうだ。
もし、「同一シーズンにチームメート3人が30ホールドを達成」すれば、これは史上初めてのことになる(※MLB公式サイトでは1999年からホールドの項目を表示)。過去20年でチームメート2人が30ホールドを達成したケースは数多くあったが、3人となるとこれまで一度もない。
今季のヤンキースの“勝利の方程式”には、チャプマンを含めて4人が名を連ねている。通常は勝利の方程式といえば3人がほとんどだが、ヤンキースは質の高いリリーフ投手を通常より1人多い、4人も揃えているということ。先発投手はなんとか5回までを切り抜ければ、後半勝負に持ち込むことができるのだ。
特に近年のポストシーズンでは、早い回から勝ちパターンの継投を繰り出していく戦法が主流になりつつある。そのため、メジャー屈指の強力救援陣を誇るヤンキースは大きなアドバンテージを持って戦うことができると言えるだろう。
10年ぶりの世界一奪還へ…。史上初の快挙にも期待がかかる、ヤンキースの救援陣に注目だ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)