残り12試合でマジック12
プロ野球・2019年シーズンも残すところ15試合を切った。
ペナントレースもいよいよ大詰めを迎えているが、パ・リーグの覇権争いは依然として目が離せない状況が続いており、12日の首位攻防・直接対決を制したソフトバンクに優勝へのマジックナンバー「12」が点灯。とはいえ、2位の西武とはまだ0.5ゲーム差で、残り試合12でのマジック12という、いわゆる“全勝マジック”となっている。まだ優勝の行方は分からない。
強力打線を武器に猛追を見せる西武とは対照的に、打撃陣の調子がいまいち上がってこないのが現在のソフトバンク。12日の試合ではエース・千賀滉大の快投でなんとか接戦をモノにしたものの、チーム合計で13安打を放ちながら奪った得点は3点だけ。7回までは残塁の山を築いていた。
とくに深刻なのが、離脱から戻ってきたばかりの柳田悠岐とアルフレド・デスパイネの状態。本来は打線の軸としてのはたらきに期待がかかる2人なのだが、その状態は深刻だ。
柳田は月間打率.162と調子が上がらず
柳田は開幕直後に左ひざ裏の肉離れを発症し、4月8日には一軍登録を抹消。そこから4カ月ものリハビリを経て、8月8日にようやく二軍戦に復帰した。当初の想定以上に時間がかかったこともあり、復帰戦後の取材対応時には思わず涙をこぼしたほど、長く苦しい時期を過ごしていた。
それから2週間ほど二軍で実戦感覚を養い、8月21日のオリックス戦で満を持して一軍に復帰。さっそく復帰初打席で安打をマークすると、翌日の試合では復帰後初の本塁打も。4試合連続で快音を響かせ、いよいよ本領発揮か…と思われた。
しかし、以降はパタッと当たりが止まる。特に9月に入って以降は打率.162(37-6)、1本塁打で2打点とブレーキがかかっている。
その柳田が不在だったシーズン序盤、奮闘を見せていたのがデスパイネ。8月は月間打率.375(48-18)と打ちまくり、7本塁打で18打点の大暴れ。月間MVPの候補選手にもノミネートされるなど、勝負の夏場に状態を上げていた。
ところが、8月19日に背中の張りで登録抹消。戦線離脱を余儀なくされてしまうと、チームの状態も下降。当初の予定を早める形で9月1日に緊急復帰させた。
復帰初戦で安打を放ち、さらに9月4日の試合では2本塁打をマークするなど、華々しく復活をアピールしたものの、翌日からは再び調子が下降気味。西武との2連戦ではトータル8打数4安打、本塁打も1と結果を出したものの、9月の月間打率は.237(38-9)とやや不安が残る。
リーグ制覇、その先の負けられない戦いも見据えて…
この2人が復帰して以降、工藤公康監督は「3番・柳田」「4番・デスパイネ」という並びで固定して戦っていたのだが、12日の西武戦では「4番・デスパイネ」「5番・柳田」と入れ替えてきた。2人の状態を見ながら、どうにか得点力アップを図りたいという想いがあったのだろう。
西武との今季の対戦をすべて終え、チームは0.5差で首位に浮上。残り12試合すべて勝利すれば、リーグの覇権を奪い返すことができる。
その中で、やはり中軸を担う柳田とデスパイネの復調は必要不可欠だ。優勝争いをより楽にしたいという部分はもちろんのこと、リーグ優勝を決めた後には負けられない短期決戦が控えている。それまでに2人の調子が戻るかどうか…。ソフトバンクとしては、どうにか復調のキッカケを掴んでもらって決戦に進みたい。
残りわずかとなったペナントレース。優勝争いはもちろんのこと、その中で苦しみながらもがく柳田・デスパイネの戦いにも注目だ。