セは野手が多い!?
セ・リーグは、巨人とDeNAによる優勝争いから、優勝マジックを「4」としている巨人が“いつ優勝するのか”に焦点が移行しつつある。9試合を残し、2位・DeNA(残り7試合)とのゲーム差は「4.5」。早ければ20日の直接対決で巨人優勝の決まる可能性がある。
そこで例年、優勝したチームから選出されることの多い『最優秀選手(MVP)』の行方を占ってみたい。このまま巨人が逃げ切れば、間違いなくMVPは巨人から選出されるだろう。セ・リーグでは過去10年で9度、優勝チームからMVPが選ばれている。
唯一の例外は2013年のバレンティンで、シーズン新記録となる60本塁打の金字塔を打ち立てたことが大きかった。ちなみに、ヤクルトはそのシーズンの最下位で、リーグ優勝を成し遂げたのは巨人だった。
また過去10年のポジション内訳は、投手2人、野手8人と、野手が多い。その傾向は過去10年以前も同様で、指名打者制のないセ・リーグでは、より出場機会の多い野手の方が有利なのかもしれない。
▼ セ過去10年の歴代MVP
18年:丸 佳浩(広島)☆
17年:丸 佳浩(広島)☆
16年:新井貴浩(広島)☆
15年:山田哲人(ヤクルト)☆
14年:菅野智之(巨人)☆
13年:バレンティン(ヤクルト)※巨人
12年:阿部慎之助(巨人)☆
11年:浅尾拓也(中日)☆
10年:和田一浩(中日)☆
09年:ラミレス(巨人)☆
☆=優勝チームからの選出
※=優勝チーム
坂本勇が大本命も…
話を戻して今季のMVPだが、巨人が優勝するという前提で考えると、真っ先に挙がるのが「坂本勇人」の名前ではないだろうか。今季はここまでの全134試合に出場し、一時は三冠王の可能性も感じさせる数字を残していた。
8月にやや調子を崩し、打率は現在リーグ5位、本塁打は同2位、打点は同6位と、最終的には“無冠”に落ち着く可能性が高くなってきたが、チームでの存在感、得点圏打率.330という勝負強さはMVPに十分値するだろう。
巨人の投手陣から名前を挙げるとすれば、「山口俊」の一択か。巨人の絶対的エース菅野智之が調子を崩すなか、シーズンの大部分でチームを支えた。チーム最多の24試合に先発登板し、14勝4敗、防御率2.88。勝利数(14勝)、勝率(.778)、奪三振数(175)は、いずれもセ・リーグトップだ。山口が複数の個人タイトルを獲得するようなことになれば、坂本を上回る可能性もありそうだ。
巨人からもうひとり名前を挙げるとすれば、セ界では初となる3年連続MVPを狙う丸佳浩か。インパクトという点では過去2年に及ばないが、FA移籍の期待に応える働きを見せている。自身初の3割30本100打点を達成するようなことになれば、可能性もゼロではないか。
窮地に立たされたDeNAもまだ逆転優勝をあきらめていない。いちるの望みをかけて残り7試合(うち3試合が巨人戦)に臨むが、奇跡を起こすには全勝するしかないだろう。DeNAが逆転優勝を果たした場合、今永昇太とソトの2人がMVP候補か。
いずれも2つ以上の個人タイトル獲得の可能性を残しており、MVPにふさわしい数字は残している。
▼ セMVP候補の成績
<巨人>
・坂本勇人:134試合、打率.311、36本塁打、89打点
・丸 佳浩:134試合、打率.302、27本塁打、89打点
・山口 俊:24試合、14勝4敗、防御率2.88、175奪三振
<DeNA>
・ソト:134試合、打率.267、40本塁打、100打点
・今永昇太:23試合、13勝6敗、防御率2.39 173奪三振
文=八木遊(やぎ・ゆう)