平成最後のドラフトを沸かせたミレニアム世代
両リーグの優勝チームが決まり、ペナントレースも残りわずか。10月に入るとクライマックスシリーズが始まり、あと3週間もすればドラフト会議がやってくる。
今年は最速163キロの直球を誇る“令和の怪物”こと佐々木朗希(大船渡)や、夏の甲子園大会、その後のU-18W杯でも活躍した奥川恭伸(星稜)らが注目を集めそうだが、話題性だけで見ると昨年のドラフト会議のほうが盛り上がったようにも思える。
夏の甲子園大会で活躍した、根尾昂、藤原恭大らの高校生野手が注目を集め、史上最多となる11球団が高校生野手をドラフト1位で指名。さらに、夏の甲子園を制した大阪桐蔭からは史上最多タイとなる4選手が指名を受けるなど、例年以上に高校生に注目が集まった年だった。
あれから約1年――。平成最後のドラフトで話題をさらった高卒ルーキーたちは、今シーズンどんな成績を収めているのだろうか。
長打力に注目したい隠れた逸材も?!
検証したのは、昨年のドラフト会議で指名された高校生のシーズン成績(※9月26日終了時点/☆=一軍での成績)。まずはパ・リーグから。
▼ 西 武
・渡邉勇太朗(2位) 1登板:1.2回/0勝0敗/防御率5.40
・牧野翔矢 (5位)42試合:率.172(87-15)0本 8点
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・大窪士夢(育成2位) 1登板:2回/0勝0敗/防御率9.00
▼ ソフトバンク
・野村大樹(3位)21試合:率.196(46-9)0本 10点
・水谷 瞬(5位) 3試合:率.000( 1-0)0本 0点
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・渡邉 陸(育成1位)※一二軍出場なし
・中村宜聖(育成4位)※一二軍出場なし
▼ 日本ハム
・吉田輝星(1位) 4登板:1勝3敗/防御率12.27 ☆
17登板:56.1回/2勝5敗/防御率4.31
・野村佑希(2位)75試合:率.245(273-67)5本 32点
・万波中正(4位) 2試合:率.000(4-0)0本 0点 ☆
87試合:率.242(289-70)14本 42点
・柿木 蓮(5位)26登板:43.2回/2勝4敗/防御率8.24
・田宮裕涼(6位)72試合:率.226(195-44)0本 16点
▼ オリックス
・太田 椋(1位) 6試合:率.000(13-0)0本 0点 ☆
64試合:率.258(233-60)6本 21点
・宜保 翔(5位) 4試合:率.300(10-3)0本 0点 ☆
111試合:率.227(375-85)0本 20点
▼ ロッテ
・藤原恭大(1位) 6試合:率.105(19-2)0本 2点 ☆
81試合:率.227(300-68)4本 21点
・山口航輝(4位)111試合:率.241(282-68)6本 29打点
・古谷拓郎(6位)13登板:50回/6勝4敗/防御率5.04
・土居豪人(8位) 9登板:11回/0勝0敗/防御率9.00
▼ 楽 天
・引地秀一郎(3位)10登板:29.2回/1勝3敗/防御率10.01
・佐藤智輝 (5位) 2登板:2回/0勝0敗/防御率0.00
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・清宮虎多朗(育成1位)※一二軍出場なし
球団として54年振りとなる開幕スタメンを勝ち取ったロッテの藤原恭大、ドラフト制度導入後では史上19人目となる高卒投手の初登板初勝利を成し遂げた日本ハムの吉田輝星ら、ドラ1たちが話題を振りまいたものの、プロの壁が立ちはだかる格好となった。藤原も吉田も、プロの水に慣れるまでには、もう少し時間を要しそうだ。
ファーム公式戦に目を向けると、日本ハムの万波中正がリーグワーストの117三振ながら、イースタンでは4位タイとなる14本塁打をマーク。身体能力の高さを発揮している。また、骨折で出遅れたオリックスのドラ1・太田椋も、復帰後は二軍で経験を積み、チーム2位の6本塁打を放つなど、まずまずの成績を残している。
太田より一足早く一軍昇格を決めたオリックスのドラ5・宜保翔は、出場3試合目でプロ初安打を記録し、ここまで4試合(10打数)で3安打をマークしている。太田と万波は一軍で初安打を記録することはできていないが、その他の選手も含め、来季以降の活躍に期待したいところだ。
育成から駆け上がった山下航汰
続いて、セ・リーグ各チームの高卒ルーキーの成績を見ていきたい。
▼ 広 島
・小園海斗(1位)57試合:率.213(188-40)4本 16点 ☆
53試合:率.210(210-44)6本 22点
・林 晃汰(3位)101試合:率.225(311-70)7本 35点
・中神拓都(4位)86試合:率.221(149―33)1本 10点
・田中法彦(5位) 4登板:4回/0勝0敗/防御率2.25
・羽月隆太郎(7位)88試合:率.307(212-65)0本 9点
▼ 阪 神
・小幡竜平(2位)98試合:率.227(313-71)1本 14点
・川原 陸(5位)※一二軍とも出場なし
▼ DeNA
・勝又温史(4位)16登板:45回/2勝3敗/防御率6.80
・益子京右(5位)31試合:率.247(77-19)1本 13点
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・宮城滝太(育成1位)16登板:41.1回/3勝6敗/防御率6.10
▼ 巨 人
・増田 陸(2位)※一二軍出場なし
・直江大輔(3位)3登板:5回/0勝1敗/防御率10.80
・横川 凱(4位)4登板:12回/1勝1敗/防御率6.00
・松井義弥(5位)20試合:率.136(44-6)1本 3点
・戸郷翔征(6位)1登板:0勝0敗/防御率3.86 ☆
11登板:42回/4勝1敗/防御率3.00
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・山下航汰(育成1位)12試合:率.167(12-2)0本 0点 ☆
87試合:率.337(309-104)6本 37点
・平井快青(育成2位)※一二軍出場なし
・沼田翔平(育成3位) 3登板:9回/0勝0敗/防御率2.00
・黒田響生(育成4位)40試合:率.179(84-15)1本 9点
▼ 中 日
・根尾 昂(1位)108試合:率.210(410-86)2本 33点
・石橋康太(4位)11試合:率.067(15-1)0本 2点 ☆
45試合:率.191(115-22)4本 12点
・垣越建伸(5位)15登板:32.2回/3勝2敗/防御率3.58
▼ ヤクルト
・市川悠太(3位)18登板:19.1回/1勝0敗 防御率2.79
・濱田太貴(4位) 1試合:率.000(2-0)0本 0点 ☆
105試合:率.254(338-86)8本 52点
・鈴木裕太(6位)19登板:19.1回/0勝2敗/防御率8.38
パ・リーグの選手同様、1年目から一軍デビューを飾った選手は、投手と野手を併せても5名。そのなかで目を引くのは、やはり広島の小園海斗か。6月に一軍デビューを飾ったのち、フレッシュオールスターでMVPを獲得して勢いをつけると、後半戦が開幕した7月15日に再昇格。田中広輔の不振もあり、そのままショートのレギュラーに定着した。
もうひとり注目したいのが、巨人の山下航汰。育成選手として入団すると、高卒の選手とは思えないバットコントロールでヒットを量産し、イースタンで首位打者をキープ。7月5日には球団史上初となる高卒1年目で、支配下選手の座を勝ち取り、8月2日には一軍に昇格した。9月4日の対中日戦では、地元群馬で初ヒットを放っている。
そして、9月に入って月間成績が打率.355(62-22)、11試合連続安打など調子を上げている中日の根尾が、27日に初昇格を果たす見込みとのこと。同選手の一軍デビューも楽しみだが、彼らのプロ野球人生は始まったばかり。彼らミレニアム世代が今後どのような成長を遂げるのか、10月7日から始まるフェニックスリーグや秋季キャンプでの奮闘も楽しみにしたい。
文=福嶌弘(ふくしまひろし)
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※初出時、中神拓都選手(広島4位)、田中法彦投手(広島5位)の成績に誤りがございました。訂正してお詫び申し上げます。大変失礼致しました。