勝負の10月戦線、スタート
記憶に新しい3月の日本開幕から早半年…。2019年のメジャーリーグもレギュラーシーズンの戦いが終わり、現地時間10月1日(日本時間2日)からは世界一を目指す10チームによるポストシーズンが幕を開ける。
1日に行われるのはナ・リーグのワイルドカードゲーム。2年ぶりにポストシーズン進出を果たしたナショナルズが、昨季リーグ優勝にあと一歩まで迫ったブリュワーズをワシントンに迎え入れる。
実はこの両チーム、1969年のエクスパンションでリーグに加盟した4チームのうちの2チーム。すなわち“同期”ということになる。ナショナルズは1969年から2004年までカナダのモントリオールを本拠地とし、2005年から現在のワシントンに移転。一方のブリュワーズは1969年の1シーズンをシアトルで過ごし、翌年からミルウォーキーに本拠地を移した。
他の“同期”にはロイヤルズとパドレスがいるが、4チームの中でワールドシリーズ制覇の経験があるのはロイヤルズのみ(1985年と2015年に世界一)。他の3チームはまだ世界一の美酒を味わったことがない。
また、既存の30チームでワールドシリーズの舞台を経験したことがないチームは、ナショナルズとマリナーズの2チームだけ。ナショナルズにとっては悲願のリーグ制覇も懸かっている。
ブリュワーズは1982年に1度だけリーグ優勝の経験があるが、当時はア・リーグ所属だったため、1998年にナ・リーグに移行してからのリーグ制覇はない。すなわち、既存の15チームで唯一、“ナ・リーグでの優勝経験がない”チーム同士の戦いということになる。
“最強”ドジャースへの挑戦権をかけて…
さて、ワイルドカード枠が「2」に増えたのは2012年のこと。その歴史は浅い。
ご存じのように、ワイルドカードゲームはたった1試合だけ。一発勝負に負ければシーズンは即終了。勝利したとしても、次は地区シリーズでレギュラーシーズン最高勝率のチームが相手だ。勝ち抜いても日程的な不利は否めない。
実際に2012年以降、ワイルドカードからリーグ優勝を果たし、ワールドシリーズまでたどり着いたのは2チームだけ。ともに2014年にワイルドカードから勝ち上がり、ワールドシリーズを戦ったジャイアンツとロイヤルズである。
それでも、ナショナルズとブリュワーズは今季ともにシーズン後半、もしくは終盤に調子を上げて、ポストシーズンに進んだ。勢いに乗って滑り込んできたチーム同士の対決となるだけに、その期待も大きい。
果たして、今季106勝を挙げた“最強”ドジャースへの挑戦権を得るのはどちらのチームになるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)