リーグトップの防御率を誇る投手陣
大激戦となった2019年セ・リーグの3位争い。制したのは阪神だった。
負けたら終わりという状況から、最終盤で怒涛の6連勝。先に全日程を終えていた広島を交わし、見事に3位に滑り込んだ。
快進撃を見せた阪神の原動力は投手陣にある。チーム防御率3.46はリーグトップの数字で、リーグ最少の538得点と苦しんだ打撃陣を大きくカバーした。
先発は今シーズンから加入した西勇輝が10勝、防御率2.92と役割を果たしている。助っ人のランディ・メッセンジャー、オネルキ・ガルシアが思うような結果を残せなかったなか、安定した投球を見せたのはさすがだ。序盤こそ黒星先行となったが大崩れすることはなく、年間を通じてローテーションを守りきったのは大きかった。
そして、サイドハンドの青柳晃洋も飛躍した。最終戦で自身初となる規定投球回にも到達。9勝目を挙げるなど、クライマックスシリーズ(以下、CS)でも先発を任されることになりそうだ。
ふたりを軸とした先発投手陣が頑張った以上に結果を残したのが、鉄壁の中継ぎ陣だろう。シーズン半ばから不調のラファエル・ドリスに代わって守護神となった藤川球児は、年齢を感じさせない投球で防御率1点台をキープ。
今シーズンから加わったピアース・ジョンソンはパワーカーブを武器とし、セットパアッパーに定着。後半戦でやや息切れしたものの、58試合の登板で40ホールド、防御率1.38とリーグ屈指の成績を残している。
そしてもうひとり、忘れてはいけないのが左の岩崎優だ。
今季DeNA戦で10試合無失点投球
矢野燿大監督が就任した昨秋の時点では、岩崎に先発への再転向プランが持ち上がっていた。しかし、キャンプの時点で方向転換。今シーズンも中継ぎでの起用が決定した。
開幕こそ二軍で迎えるが、4月半ばに一軍へ昇格すると好投を続けチームに貢献。しかし、5月に入るとインフルエンザを発症し、無念の離脱となってしまう。
復帰したのはセ・パ交流戦の最終盤となる6月下旬のこと。そこからの岩崎は凄まじかった。シーズン終了まで離脱することなく投げ続け、40試合に登板して自責点はわずかに「5」。シーズントータルでも48試合の登板で防御率1.01と安定した投球を見せた。
シーズン終盤になると、それまでの疲労もあり成績を落とす投手が多いなかで、岩崎はむしろ調子を上げていく。開幕二軍スタート、さらには離脱により登板試合数が少なかったことの影響なのか、月間防御率を見ても8月の1.46から9月は0.64と良化している。
DeNAと戦うことになるCSのファーストステージでも、岩崎がキーマンになる可能性は大きい。終盤では3日連続での登板もこなしており、連投を苦にしないのも岩崎の強みだ。また、今シーズンの岩崎は、DeNA相手に10試合登板して無失点。防御率0.00をキープしているなど、抜群に相性がいい。
近年のプロ野球は、一戦必勝の短期決戦においては、特に早めの継投が主流になっている。中継ぎ投手陣の重要度が高いことは言うまでもない。3位からの下剋上へ向け、岩崎はフル回転を覚悟し、ブルペンでスタンバイする。