日本一を支えたふたりの外国人選手
ソフトバンクが圧倒的な強さを見せた今年の日本シリーズ。5年ぶりにセ・リーグを制した巨人をまったく寄せつけずに4連勝を飾り、見事に3連覇を達成した。そんなソフトバンクの日本一に大きく貢献したのが、グラシアルとデスパイネだろう。
MVPを獲得したグラシアルは、日本シリーズ4戦中3戦で本塁打を放っただけでなく、その本塁打の内訳は同点弾が2本に先制が1本。いずれも重要な局面で出たものだけに価値が高かった。そしてグラシアルにMVPを譲ったが、3年連続で日本シリーズに出場したデスパイネ。デスパイネもまた優秀選手賞に輝くなど、ソフトバンク打線の中心として、その実力を発揮した。
ソフトバンクのように、外国人選手の存在がチームに大きな影響を及ぼすこともよくあることだが、果たして他のチームはどうだろうか。
楽天の長打を支えた新外国人
基準にしたのは、12球団の打撃成績におけるチームの安打・本塁打・打点の総数のうち、外国人選手が占めた割合。外国人選手の活躍が顕著であればその数字が大きくなる。まずは、パ・リーグの6球団から見ていく。
▼ 西武
<選手:メヒア>
【安 打】27 / 1229本(2.2%)
【本塁打】 6 / 174本(3.4%)
【打 点】31 / 718点(4.3%)
▼ ソフトバンク
<選手:グラシアル、デスパイネ、コラス>
【安 打】240 / 1199本(20.1%)
【本塁打】 65 / 183本(36.0%)
【打 点】158 / 559点(28.3%)
▼ 楽天
<選手:ブラッシュ、ウィーラー>
【安 打】211 / 1196(17.6%)
【本塁打】 52 / 141本(36.9%)
【打 点】162 / 589(27.5%)
▼ ロッテ
<選手:レアード、マーティン、バルガス>
【安 打】182 / 1194(15.2%)
【本塁打】 47 / 158(29.7%)
【打 点】134 / 613(21.9%
▼ 日本ハム
<選手:王柏融>
【安 打】78 / 1200(6.5%)
【本塁打】 3 / 93(3.2%)
【打 点】35 / 532(6.6%)
▼ オリックス
<選手:ロメロ、モヤ、マレーロ、メネセス>
【安 打】196 / 1153(17.0%)
【本塁打】 34 / 102(33.3%)
【打 点】126 / 516(24.4%)
ソフトバンクは、グラシアルとデスパイネがシーズン中も打線の中軸を担っており、ふたりでチームの本塁打数の3割以上を記録。それだけに、ふたりへの依存度も高く、グラシアルがキューバ代表に合流するために一時帰国していた7月19日から8月8日に行われた18試合は、8勝10敗と負け越した。
そして、ソフトバンク以上に依存度が高かったのが楽天だ。ブラッシュ、ウィーラーともに打率が高くないので安打数は伸びなかったが、本塁打ではチーム全体の36.9%を占めた。ブラッシュの33本塁打はチーム最多タイで、ウィーラーの19本塁打はチーム3位。楽天の野手で、ほかに2桁本塁打に達したのは茂木栄五郎(13本)と島内宏明(10本)だけだった。
DeNAにおける助っ人外国人の存在感
続いて、セ・リーグ6球団を見てみたい。
▼ 巨人
<選手:ゲレーロ、ビヤヌエバ、マルティネス/投手:メルセデス、ヤングマン>
【安 打】120 / 1242(9.7%)
【本塁打】 29 / 183(15.8%)
【打 点】 79 / 627(12.6%)
▼ DeNA
<選手:ソト、ロペス>
【安 打】272 / 1177(23.1%)
【本塁打】 74 / 163(45.4%)
【打 点】192 / 575(33.3%)
▼ 阪神
<選手:マルテ、ソラーテ、ナバーロ/投手:ガルシア>
【安 打】125 / 1213(10.3%)
【本塁打】 16 / 94(17.0%)
【打 点】 61 / 509(12.0%)
▼ 広島
<選手:バティスタ、メヒア、サンタナ/投手:ジョンソン>
【安 打】153 / 1232(12.4%)
【本塁打】 33 / 140(23.6%)
【打 点】 89 / 562(15.8%)
▼ 中日
<選手:ビシエド、アルモンテ、モヤ/投手:ロメロ>
【安 打】228 / 1265(18.0%)
【本塁打】 26 / 90(28.9%)
【打 点】121 / 545(28.9%)(28.9%)
▼ ヤクルト
<選手:バレンティン/投手:ブキャナン、スアレス>
【安 打】118 / 1181(10.0%)
【本塁打】 33 / 167(19.8%)
【打 点】 93 / 630(14.8%)
5年ぶりにリーグ優勝に輝いた巨人をはじめ、全体的にパ・リーグ6球団と比べると外国人選手の依存度が低く感じられるが、そのなかで異彩を放つのがDeNAだ。
本塁打王と打点王の二冠に輝いたソトと、2年前の打点王であるロペスがチームの安打・本塁打・打点の3部門すべてで上位2名に入るなど、打線の中軸として機能。この3部門における数字は12球団ベストで、特に本塁打は約半数がこのふたりによるものだった。長年チームの4番を担った筒香嘉智がメジャー移籍を表明したことで、よりソトとロペスにかかる期待が大きくなりそうだ。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)