プレミア12で勝負強さが光る鈴木誠也
11月2日に開幕した「WBSCプレミア12」では、主砲・鈴木誠也(広島)の活躍が光っている。オープニングラウンド3試合すべてで複数打点を記録して、すでに9打点。チャンスでの強さを見せている。
そのチャンスでの勝負強さを表す指標のひとつと言えば、「得点圏打率」になるだろう。今季の得点圏打率ランキングは、なかなか興味深く、セ・リーグは「.351」の会沢翼(広島)、パ・リーグは「.411」の森友哉(西武)と、両リーグとも捕手がトップの数字を記録した。その他にも梅野隆太郎(阪神)が「.330」でリーグ4位にランクインしており、「捕手」の活躍が目に付いたシーズンだった。
鈴木はというと、打率では「.335」で首位打者のタイトルに輝いたが、得点圏打率は打率ほど高くなく、「.285」。打線の中心ということもあり、相手バッテリーの警戒レベルは当然高く、得点圏に走者がいる状況で鈴木を迎えれば、より厳しい攻めになる。このような数字になったのもうなずける。
一方、打率はさほど高くなくとも得点圏打率は高いという、鈴木の例とは逆の意味で「ギャップのある選手」もいる。その差が大きいほど、相手からすれば油断ならない嫌な選手という言い方もできるのではないだろうか。下記は、その差異の12球団トップ10と、ワースト5のランキング(※規定打席到達者)だ。
▼「得点圏打率-打率」トップ10
<順位:選手(所属)得点圏打率-打率=差異>
1位:森 友哉(西) 「.411」-「.329」=「+.082」
2位:会沢 翼(広) 「.351」-「.277」=「+.074」
3位:菊池涼介(広) 「.333」-「.261」=「+.072」
4位:梅野隆太郎(神)「.330」-「.266」=「+.0648」
5位:中村剛也(西) 「.350」-「.286」=「+.0634」
6位:大山悠輔(神) 「.318」-「.258」=「+.060」
7位:ソ ト(De) 「.328」-「.269」=「+.059」
8位:島内宏明(楽) 「.342」-「.287」=「+.055」
9位:デスパイネ(ソ)「.309」-「.259」=「+.050」
10位:西川遥輝(日) 「.337」-「.288」=「+.049」
▼「得点圏打率-打率」ワースト5
1位:雄 平(ヤ)「.207」-「.273」=「-.066」
2位:内川聖一(ソ)「.194」-「.256」=「-.062」
3位:秋山翔吾(西)「.244」-「.303」=「-.059」
4位:鈴木誠也(広)「.285」-「.335」=「-.050」
5位:近本光司(神)「.230」-「.271」=「-.041」
目を引いた森友哉の活躍
1位だったのは森。打率.329でパ・リーグ首位打者となり、得点圏打率でも唯一4割を超える「.411」という数字を残し、下位の選手を大きく引き離した。
トップ10のなかでもっとも打率が低かったのは大山悠輔(阪神)。今季は開幕から4番を任されたものの、迫力不足や「勝負弱さ」を指摘されることもあったが、このランキングでは6位に入っている。打率が低かったことでランキングが上がった面もあるが、得点圏打率「.318」は十分に立派なものだ。
一方、ワースト1位だったのは雄平(ヤクルト)。鈴木は打率の高さで差異が大きくなった部分もあるが、意外なところでは、3年連続で最多安打のタイトルをつかんだ秋山翔吾(西武)の名前があることだろうか。過去の数字を見ると、打率と得点圏打率にほとんど差がなかったが、今季は得点圏打率を大きく下げてしまった。
今季、大きな成長を見せた森。もともと打撃の評価は非常に高かったが、首位打者のタイトルを獲得したことに加え、これだけ勝負強いということになれば、来季はさらに他球団からの警戒が高まるだろう。続けて好結果を残せるのか、注目してみたい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)