毎年のように名投手が現れた2010年代
侍ジャパンの戦いも終わり、いよいよ野球界も本格的なオフシーズンモードへ。いよいよ「今年も残りわずか…」を実感する時期になってきたが、2019年が終わる前に“この10年”のプロ野球を振り返ってみようというのがこの企画だ。
2010年代のプロ野球といえば、日本シリーズ3連覇という偉業で締めくくったソフトバンクの強さが際立つ。実際、この10年で6度の日本一と、新たな球界の盟主としてその名を轟かせた時代だったと言える。
選手個々に目を向けてみると、ダルビッシュ有や田中将大、最近では大谷翔平など、球界を代表する投手が次々に現れたのが印象的。国内で圧倒的な力を発揮した彼らは、WBCやプレミア12といった国際大会での活躍を経て、海を渡りメジャーリーグへと活躍の場を移していった。
そこで、今回は好投手が数多く台頭した「2010年代」(2010~2019年)において、日本プロ野球界で最も多く“セーブ”を挙げた選手に注目。
プレッシャーの大きなポジションだけに、長く君臨するのが難しいようにも思えるが、この10シーズン通算で最もセーブを挙げた投手は誰なのか。まずは10位から6位までを見ていこう。
2014年デビューの24歳・松井裕樹が6位に
▼ 10位:増田達至(西武) 103セーブ
☆2010年代実働年数=7年(2013年~)
▼ 9位:藤川球児(阪神) 114セーブ
☆2010年代実働年数=7年(2010年~2012年、2016年~)※途中にMLB挑戦
▼ 8位:中﨑翔太(広島) 115セーブ
☆2010年代実働年数=8年(2012年~)
▼ 7位:武田久(日本ハム) 120セーブ
☆2010年代実働年数:7年(2010年~2017年)
▼ 6位:松井裕樹(楽天) 139セーブ
☆2010年代実働年数:6年(2014年~)
この10シーズンにおけるトップ10の基準は「103」。西武の増田はデビューこそ2013年も、初セーブはプロ3年目の2015年で、抑えに定着したのも2016年から。実質4年で3ケタセーブを稼いでいる。
8位の中﨑も同様で、一軍デビューは2012年だったが、抑えに回ったのは2015年から。そのうち2017年と今年は抑えから外れることもあってセーブ数が伸び悩んだなか、それでも第8位に食い込んだ。
また、6位には楽天の松井裕樹がランクイン。プロ2年目から抑えに抜擢され、昨季は抑えから外れる時期もあり5セーブに留まったものの、シーズン通してストッパーを務めた4シーズンはすべて30セーブ以上を記録。今年で24歳という若さながら、早くも通算139セーブを積み上げた。
このままのペースでいけば、前人未踏と思われた岩瀬仁紀のプロ野球記録・407セーブ超えも…?気は早いが、今季再び守護神の座を奪い返したことで、再び期待が高まっている。
1位は唯一の「200」超え…
つづけて、トップ5を見てみよう。
▼ 5位:平野佳寿(オリックス) 156セーブ
☆2010年代実働年数=8年(2010年~2017年) ※現ダイヤモンドバックス
▼ 4位:増井浩俊(オリックス) 163セーブ
☆2010年代実働年数=10年
▼ 3位:山崎康晃(DeNA) 163セーブ
☆2010年代実働年数=5年(2015年~)
▼ 2位:岩瀬仁紀(中日) 173セーブ
☆2010年代実働年数=8年(2010年~2018年)
▼ 1位:デニス・サファテ(ソフトバンク) 234セーブ
☆2010年代実働年数=9年(2011年~)
ここでも同数だった場合は実働年数が少ない方を優先。その結果、第3位になったのがDeNAの山﨑康晃だ。
こちらは大卒プロ入り1年目からチームの守護神に君臨し、5年連続で25セーブ以上をマーク。うち4シーズンは30セーブを超えており、今季は最多セーブのタイトルも手中に収めた。
先ほどは松井裕樹のところで日本記録更新への期待について触れたが、山﨑も大卒入団とはいえまだ27歳と若い。大きな故障もなく、5シーズンで303登板と安定して投げ続けられている点も強みで、こちらもキャリアでいくつのセーブを積み重ねるのか、今から楽しみだ。
そして、堂々の第1位に輝いたのがソフトバンクのデニス・サファテ。2位に60以上の大差をつけ、ただ一人200を超えるセーブを記録した。
2011年に来日して広島で35セーブを挙げるも、翌年はストッパー固定ではなくなったこともあって9セーブ止まり。西武に移籍した2013年も10セーブに留まったが、2014年にソフトバンクに移籍するとそこから超ハイペースでセーブを量産。初年度にいきなりキャリア最多の37セーブを記録したかと思えば、そこから41セーブ・43セーブと自己記録を更新し続け、2017年には驚異の54セーブをマーク。年間セーブ数のプロ野球新記録を打ち立てて見せた。
しかし、そんなフル回転の連続に身体が悲鳴をあげる。昨年、股関節の故障で開幕直後に戦線離脱。手術を受けた影響から残りのシーズンを棒に振ると、今年もオープン戦で実戦復帰を果たしたが、本来の姿とは程遠く。結局、シーズン全休となり、ここ2年は5つしかセーブを挙げることができなかった。
名球界入りの条件となる「通算250セーブ」まで、あと16。来季復活を果たし、またひとつ偉業を成し遂げることができるか。サファテの今後にも注目だ。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)