嘉弥真が年俸1億円の大台を突破
12月24日、ソフトバンクの嘉弥真新也が契約更改交渉を行い、推定年俸1億1000万円プラス出来高で来季の契約にサイン。今季の推定年俸8000万円から3000万円の大幅増により、1億円プレーヤーの仲間入りを果たした。潤沢な資金を誇るソフトバンクとはいえ、チームが嘉弥真をそれだけ高く評価しているということだ。
今季の嘉弥真の成績は、54試合31回を投げて、2勝2敗1S19H、26奪三振、防御率2.61。2017年以降、3年連続で50試合以上に登板し、いずれも防御率2点台と安定した投球を続けている。また、野球日本代表侍ジャパンの一員として出場した、今オフの「2019世界野球WBSCプレミア12」でも、3試合無安打無失点とその活躍は記憶に新しい。日本球界において、中継ぎ投手として確固たる地位を築きつつある。
嘉弥真をその地位に引き上げた大きな要因に、2017年からサイドスローに転向した点が挙げられる。身長172センチと小柄な嘉弥真は、豪速球を投げられるわけではない。しかし、左のサイドスローからシュートとスライダーを内外角にきっちり投げわけるその技術で打者を翻弄する。
12年連続50試合登板の鉄腕・宮西
嘉弥真の転機となった2017年は、チームの先輩であり左のサイドスローの先輩でもあった森福允彦が巨人に移籍した年でもある。その森福は巨人では期待されたような実績を残せないまま、今オフに引退を決断。森福と入れ替わるように嘉弥真が大きく飛躍したことに、時代の流れを感じる。ここで、嘉弥真ら、主な左サイドスロー投手の今季成績を振り返ってみたい。
【主な左サイドスロー投手2019年成績】
宮西尚生(日) 55試合(47.1回)1勝2敗0S43H 51奪三振 防御率1.71
小川龍也(西) 55試合(38.1回)4勝1敗1S15H 28奪三振 防御率2.58
嘉弥真新也(ソ)54試合(31.0回)2勝2敗1S19H 26奪三振 防御率2.61
高梨雄平(楽) 48試合(31.1回)2勝1敗0S14H 41奪三振 防御率2.30
松永昂大(ロ) 46試合(34.2回)2勝3敗0S25H 32奪三振 防御率2.60
球界を代表する左サイドスロー投手といえば、なんといっても宮西尚生(日本ハム)の名が筆頭に挙げられるだろう。ルーキーイヤーの2008年からシーズン50試合以上の登板を続ける鉄腕は、34歳となった今季もあたりまえのように55試合に登板。しかも、今季は2011年以来8年ぶりに投球回数を上回る奪三振を記録し、防御率は1.71。まさに、衰え知らずである。
「貴重な」と形容されることが定番の左サイドスロー投手は、いつの時代も重宝される存在でもある。それどころか、とくにセ・リーグではかつてより数が減った印象もあり、球界における左サイドスロー投手の希少性はより増しているのかもしれない。
文=清家茂樹