秋山移籍も目立った補強はなし
巧打と長打を併せ持ち、2015年から2019年まで5シーズンにわたって全143試合に出場した秋山翔吾が米レッズに移籍。喜ばしいことではあるが、リーグ3連覇を狙う西武にとっては、秋山翔吾が抜けた一角の穴埋めは容易ではない。
チームとしても秋山が移籍する可能性は事前にわかっていたため、ソフトバンクからFA宣言した福田秀平(ロッテ)の獲得に乗り出したが争奪戦に敗れ、これまでのところ目立った補強は、スパンジェンバーグという内外野を守れる新外国人の獲得のみにとどまっている。
メジャーでの実績は通算419試合、打率.256、29本塁打、119打点という数字で、西武では外野手登録になる見込み。センターの守備という部分では金子侑司にかかる期待が大きいものの、打撃の部分ではスパンジェンバークの活躍も必要不可欠だ。
スパンジェンバーグと同じくユーティリティープレーヤーの外崎修汰を再び外野に戻すという手もありそうだが、辻発彦監督は、外崎を二塁レギュラーに定着させたい考えを示しているとのこと。2019年に楽天に移籍した浅村栄斗が抜けた穴をきっちりと埋め、個人成績も向上させた外崎の起用法を変にいじりたくはないのだろう。
ベテランの壁を超える若手が現れるか!?
もちろん、これから先、さらなる補強を行う可能性もなくはないが、現時点では現有戦力とスパンジェンバーグによるポジション争いとなる。では、そのレギュラー候補はどんな顔ぶれになるのか――。
今回は、2019年に1試合でも外野手でスタメン出場を果たした選手のうち、秋山と外崎、引退した斉藤彰吾を除いた各選手のシーズン成績を振り返ってみる。
【2019年西武外野スタメン選手シーズン成績】
金子侑司(29):133試合 打率.251 3本 33打点 41盗
木村文紀(31):130試合 打率.220 10本 38打点 16盗
栗山 巧(36):123試合 打率.252 7本 54打点 0盗
愛 斗(22): 42試合 打率.151 0本 3打点 0盗
鈴木将平(21): 16試合 打率.154 0本 1打点 1盗
戸川大輔(23): 10試合 打率.174 1本 1打点 0盗
――――――
スパンジェンバーグ:32試合 打率.232 2本 10打点 3盗塁※
※=米ブリュワーズでの記録
金子侑司や木村文紀には守備と足という武器があるが、打力という点では物足りなさも残る。全体的な底上げはもちろん、3人の外野手のうち、ひとりは打撃に関する期待値の高い選手を置きたいところだ。
打撃という部分では、左右の違いはあるものの愛斗や鈴木将平といった高卒組に期待が寄せられたが、両選手とも与えられたチャンスを生かしきれなかった。今オフ、愛斗は浅村英斗や外崎、熊代聖人らが愛媛で行っている自主トレに参加し、鈴木は例年通り秋山との合同自主トレで汗を流している。各々がレギュラーの座を奪うべく、さらなる成長に向けた下地作りに励んでいるところだ。
また、育成出身の戸川大輔も候補のひとり。育成出身では、2019年にファームで12本塁打を記録するなど、長打が魅力の高木渉(20)も外野手だ。また、高木と同じくファームで12本塁打を記録したのが山野辺翔。内野手の山野辺が一軍に定着するような活躍をすれば、それこそ外崎を再び外野で起用することもあるだろう。
2019年、外野手としてのスタメン出場はなかった熊代聖人も、昨年末には「チーム内の役割はわかっている」と話しつつ、「そこを狙いに行かないほどバカな話はないので、うかうかしていたら抜いちゃうよ、やっちゃうよという気持ちではいきたい」と若手に発破をかけていた。
栗山巧や木村といったベテランの壁を超えて、第2の秋山となるような若手が現れるのかが、リーグ3連覇を目指す西武にとって、大きな課題となりそうだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)