コラム 2020.01.28. 17:45

2020年最注目の有望株 MLBプロスペクトランキングで“トップ評価”を受けた男

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ワンダー・フランコ

2年前は大谷がトップ


 2020年も最初の1カ月がまもなく終了。野球界的には長かったオフも残りわずかとなり、いよいよ心躍る“球春到来”が近づいてきた。

 メジャーリーグでも新シーズンに向けた話題が徐々に増えており、つい先日はプロスペクトランキング(プレシーズン)も発表された。“プロスペクト”とは「若手有望株」のことで、新人王の資格を持つ選手たちについて専門家らが独自に評価。MLB公式サイトがシーズンを通して、1位から100位までランク付けしている。


 2年前のプレシーズンでは、大谷翔平(エンゼルス)が堂々の1位に選出。その後の活躍はご存知の通りで、ア・リーグの新人王を獲得すると、その大谷に次ぐ2位という評価だったロナルド・アクーニャ(ブレーブス)も、ナ・リーグの新人王に。期待された選手が、期待通りの活躍を見せた。

 しかし、昨年はと言うと、ブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(ブルージェイズ)がトップ評価。シーズンでは4月に弱冠20歳の若さでメジャーに昇格を果たすも、レベルの高い投手を相手になかなか結果を残すことができず。7月までは打率.250前後を行ったり来たりと苦戦を強いられた。

 オールスター以降は打率.303と調子を上げ、通算では123試合の出場で打率.272、15本塁打、69打点とルーキーイヤーとしては奮闘を見せたものの、やはり期待が大きかったこともあってかインパクトを残すことはできず。新人王投票でも7位という結果に終わっている。


16歳から大型契約!


 さて、そんなプロスペクトランキングだが、今年のプレシーズン時点での1位に選ばれたのはワンダー・フランコ(レイズ)という選手。生年月日は2001年3月1日で、約1カ月後に19歳になるという若き逸材だ。

 フランコはドミニカ共和国の出身、右投げでスイッチヒッター、ポジションは遊撃手。身長178センチ・体重86キロと屈強な選手の多いメジャーリーグにおいては小柄な部類に入る選手だが、レイズは2017年に当時16歳だったフランコと約400万ドル(約4億4000万円)で契約。2018年にはマイナーデビューを果たすなど、常にトッププロスペクトの一人として注目を集めてきた。

 2018年はルーキーリーグでは61試合に出場して打率.351、11本塁打、57打点という大暴れ。17歳ながらリーグMVPに輝くと、昨年は平均年齢が22歳という1Aで114試合に出場。打率.327、9本塁打、53打点と、クラスが上がりながらも2年連続で打率3割を超えている。

 脚力は派手に取り上げられることはないが、そのなかで盗塁も18個決めており、守備の評価も高い。走攻守3拍子そろった大型遊撃手として、将来のメジャーリーグを背負って立つことが期待される選手だ。


 ちなみに、フランコも昨年のゲレーロと同様、野球一家で育ってきた男。父は1990年代にマイナーでプレーして経験を持ち、2人の兄も現在マイナーリーグに所属中。おじにはメジャー通算1402安打のエリック・アイバーと、315安打のウィリー・アイバーがいる。まさにプロスペクト界における最強のサラブレッドなのだ。

 まだ18歳という年齢だけに、メジャーデビューは早くても来年となるが、レイズに筒香嘉智が加入したこともあって、来年以降はこの名前も目にする機会が増えることだろう。

 今年は2Aからのスタートと、ひとつひとつステップを踏んできた超新星。今後も順調にメジャーへ、そしてアメリカを代表するスーパースターへの階段を登っていくことができるだろうか。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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