鳥谷はどうなる?
多くの選手の去就が話題になったストーブリーグ。そのなかには、元阪神の鳥谷敬(38)のように所属先が決まらないままキャンプインを迎えた選手もいる。
2004年に阪神へ入団して以来、ショートのレギュラーを長年務め、2011年には最高出塁率のタイトルも獲得した鳥谷。阪神の球団史上ふたり目となる生え抜きの通算2000安打達成者であり、球団史に残るスター選手でもある。しかし、阪神からの引退勧告を固辞し、昨季限りで自由契約になった。
NPBでの現役続行を目指す鳥谷だが、依然として契約するチームは見つからないままだ。
近年では、村田修一(2017年オフに巨人退団)や西岡剛(2018年オフに阪神退団)らが自由契約になった後、独立リーグでプレーしながらNPB球団との契約を目指したが、鳥谷の希望はあくまでNPB球団への入団だという。このままユニフォームを脱ぐことになるのか、それともどこかの球団が声をかけるのか――。その去就は気になるところ。
過去には、春季キャンプ中に行われたテストで入団を決めたかつての“タイトルホルダー”もいる。
厳しい現実も……
ざっと振り返ったところ、過去20年(2000年~2019年)の間に2月の春季キャンプ中に入団テストを受け、契約を勝ち取った“元タイトルホルダー”は5人いた。
▼ 吉井理人(オリックス⇒オリックス)
獲得タイトル:最優秀救援投手(1988年)
契約当時の年齢:40歳
契約前年の成績:3試合 0勝1敗 防御率17.18
契約後(05年):15試合 6勝5敗 防御率4.03
※再契約
▼ 中村紀洋(オリックス⇒中日)
獲得タイトル:本塁打王(2000年)、打点王(2000年、2001年)、最高出塁率(2001年)
契約当時の年齢:33歳
契約前年の成績:85試合 打率.232 12本塁打 45打点
契約後(07年):130試合 打率.293 20本塁打 79打点
▼ 今岡誠(阪神⇒ロッテ)
獲得タイトル:首位打者(2003年)、打点王(2005年)
契約当時の年齢:35歳
契約前年の成績:23試合 打率.133 0本塁打 2打点
契約後(10年):26試合 打率.227 0本塁打 6打点
▼ 下柳剛(阪神⇒楽天)
獲得タイトル:最多勝(2005年)
契約当時の年齢:43歳
契約前年の成績:6試合 0勝2敗 防御率3.54
契約後(12年):4試合 0勝2敗 防御率5.29
▼ 成瀬善久(ヤクルト⇒オリックス)
獲得タイトル:最優秀防御率(2007年)、最高勝率(2007年)
契約当時の年齢:33歳
契約前年の成績:一軍登板なし
契約後(19年):6試合 0勝1敗 防御率7.32
やはり投手が3人と多く、野手は2人。昨年限りで戦力外通告を受けた成瀬善久をはじめ、好成績を残せた選手は少なく、活躍したと言えそうなのは中村紀洋のみ。それ以外の選手は、思うような出場機会を得られていない。
年齢的にも38歳となり色々な意味で難しい立場だが、野球に取り組む姿勢や、ここぞの場面での集中力は、チームの財産になり得るだろう。鳥谷の新天地でのユニフォーム姿を望んでいるファンも多いなか、その去就はどうなるのかにも注目したい。
▼ 鳥谷敬(阪神⇒???)
獲得タイトル:最高出塁率(2003年)
現在の年齢:38歳
昨年の成績:74試合 打率.207 0本 4打点
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)