2015年のドラ1は順調な仕上がり
2月1日から始まったプロ野球のキャンプも、早くも1週間が経過。今年は夏場に東京五輪が開催されることもあって、開幕が例年よりも早い3月20日となっている。そのため、オープン戦も2月半ばからはじまるという前倒しの日程となり、特に開幕一軍へアピールしたい選手にとっては早めの仕上げが求められる。
どうしても春のキャンプと言えば、その年のルーキーに注目が集まりがち。しかし、それは毎年のことで、かつて同じように注目を浴びながらも、シーズンに入ってみるとプロの壁に跳ね返された…というケースは多い。むしろ、それがほとんどと言っていいかもしれない。
日本一3連覇中の王者・ソフトバンクのキャンプでは、そんな“かつてのドラフト1位”が開幕一軍に向けて奮闘中。2月4日のフリー打撃でアピールを見せたのが、2015年のドラフト1位・髙橋純平だ。
早い時期は投手が有利とはいえ、右の柳田=“ミギータ”の愛称で知られる真砂勇介と、今年のドラ1ルーキー・佐藤直樹に対して快音を響かせず。持ち味である力強いストレートはすでに140キロ台の中盤も計測されていて、幸先の良いスタートを切ったと言って良いだろう。
ドラフト時には3球団が1巡目で入札した逸材。プロ入り後は故障にも悩まされて3年ほど結果が出ない時期が続いたものの、昨季はリリーフとして一軍に定着。45試合に登板して3勝2敗17ホールド、防御率2.65という成績を残して日本一に貢献した。
オフには先発転向の目標を口にしており、自身にハッパをかけて挑む2020年。ポジション奪取へ向けて、まずは良い一歩目を切った。
2016年のドラ1は早くもリタイア…
一方、早くも厳しい状況を迎えている“かつてのドラ1”もいる。髙橋の翌年、2016年のドラフト1位で入団した田中正義である。
ドラフトでは5球団が競合した目玉の選手。即戦力の大卒ルーキーとして大きな期待をかけられ、プロの世界へと飛び込んで来たものの、ここまでは故障に苦しめられて一軍登板は11試合のみ。プロ初勝利もまだ掴むことができていない。
それでも、昨季はファームで25試合に登板。30イニングを投げて防御率は1.80と存在感を発揮して見て、このオフにはプエルトリコでの武者修行にも参戦。ウインターリーグでは7試合中4試合に先発で起用されるなど、新たな経験も積みながら好成績を残していた。
そんな勢いのままに、「今年こそ一軍定着を!」と意気込んだのも束の間…。4日に右肘の違和感から別メニュー調整となると、その後はリハビリ組へ。故障について球団から公式な発表が出ていないだけに、その程度がどれほどのものか分かりかねるが、開幕一軍や先発転向と言った目標に向けては痛すぎる足踏みとなる。
巨大戦力を誇りながら、毎年必ず新星が頭角を現してくるのがホークスの強さ。特に近年は育成選手が一気にスターダムを駆け上がっていく流れが顕著で、むしろ支配下ドラフトの上位で指名された選手たちがやや苦しんでいる印象もある。
現時点では明暗が分かれるスタートになった“かつてのドラ1”の2人であるが、両者とも今季にかける想いの強さは相当なもの。髙橋はこのままアピールを続けて定位置の確保を、田中はまずは不安を取り除き、アピールができる状態まで戻すこと。期待の新戦力が気になるのは当然だが、ライバルの出現に刺激を受ける現有戦力からも目が離せない。