新天地・北海道で活躍なるか
春季キャンプがスタートし新たな戦力に注目が集まるが、今季の日本ハム期待の新戦力となっているのがビヤヌエバである。
2018年にパドレスで20本塁打を放ったという実績をひっさげて、昨シーズンは鳴り物入りで巨人へと入団。華麗な三塁守備にこそメジャーリーガーの片鱗が見えたが、打撃面では日本特有の変化球攻めに苦しみ、73試合の出場で打率.223、8本塁打、24打点と期待を裏切った。
シーズン後に巨人から自由契約となったが、12月には日本ハムと新たに契約。レアードが抜けて以来、固定できていない三塁のポジションを任されることになりそうだ。巨人では外国人枠の関係もあり、チャンスが十分に与えられたとは言い難かった。出場機会さえ与えられれば大化けする可能性もあるだろう。
過去にも巨人に在籍した外国人選手が他球団へ移ってプレーしたことはある。環境の変化がどのような影響を及ぼすのかは未知数だが、巨人から活躍の場を移した過去の外国人選手たちは、新天地でどのような成績を残してきたのか――。
近年ではDeNAのロペスが存在感
振り返ったのは、2000年以降に巨人に在籍し、退団後に別のNPB球団へと移籍した選手の「移籍前」と「移籍初年度」の成績。そのため、ラス(2003年に在籍。退団後、韓国球界を経て2005年に楽天へ入団)のように、巨人退団後に海外リーグでプレーした経験のある選手などは対象外とした。
確認したところ、上記の条件に当てはある選手は9人いた。巨人といえば、自前で外国人選手を獲得するだけでなく、他球団で大活躍した外国人選手を引き抜くことも多かったが、まずは巨人が自前で獲得してきた3選手の成績を見ていきたい。
▼ W.オビスポ(巨人⇒日本ハム)
【巨人最終年/10年】14試合(2勝3敗1H)防御率5.21
【移籍初年度/11年】2試合(0勝0敗)防御率54.00
▼ L.ロメロ(巨人⇒ソフトバンク)
【巨人最終年/12年】1試合(0勝0敗)防御率0.00
【移籍初年度/12年】3試合(0勝0敗)防御率10.13
※交換トレード
▼ J.ロペス(巨人⇒DeNA)
【巨人最終年/14年】134試合:打率.243/22本/57打点
【移籍初年度/15年】140試合:打率.291/25本/73打点
投手ふたりは移籍後もパッとしなかったが、大化けしたのがロペス。巨人在籍2年間で40本塁打を放つなど一定の成績を残していたが、在籍最終年となった2014年の打率は「.243」と確実性に欠けたところがネックだった。
しかし、DeNAに移籍すると、勝負強い打撃を武器に打撃3部門で前年の記録をすべて上回る大活躍。2017年には打点王と最多安打のタイトルを獲得するなど、いまやDeNA打線になくてはならない存在となっている。
日本で実績残した選手たちは…
続いては、他のNPBチームを経由して巨人に入団した後、他球団に加入した6選手の在籍最終年と移籍初年度の成績を見ていきたい。
▼ J.パウエル(近鉄⇒オリックス⇒巨人⇒ソフトバンク)
【巨人最終年/07年】7試合(0勝2敗)防御率5.80
【移籍初年度/08年】12試(2勝6敗)防御率5.29
▼ 李承燁(ロッテ⇒巨人⇒オリックス)
【巨人最終年/10年】56試合:打率.163/5本塁打/11打点
【移籍初年度/11年】122試合:打率.201/15本塁打/51打点
▼ D.ゴンザレス(ヤクルト⇒巨人⇒ロッテ)
【巨人最終年/12年】11試合(4勝1敗)防御率3.20
【移籍初年度/13年】4試合(0勝2敗)防御率8.10
▼ S.グライシンガー(ヤクルト⇒巨人⇒ロッテ)
【巨人最終年/11年】9試合登板(1勝5敗)防御率4.15
【移籍初年度/12年】25試合登板(12勝8敗)防御率2.24
▼ A.ラミレス(ヤクルト⇒巨人⇒DeNA)
【巨人最終年/11年】137試合:打率.279/23本塁打/73打点
【移籍初年度/12年】137試合:打率.300/19本塁打/76打点
▼ L.クルーズ(ロッテ⇒巨人⇒楽天)
【巨人最終年/17年】9試合:打率.156/0本塁打/3打点
【移籍初年度/17年】13試合:打率.162/0本塁打/2打点
※金銭トレード
6選手とも巨人に複数年在籍し、退団時点では30歳中盤となっていたが、ラミレス、李承燁らの野手は前年を上回る成績を残した。一方の投手は、2012年にロッテへ移籍したグライシンガーが成績を大幅に伸ばしたが、全体的には苦戦傾向。果たしてビヤヌエバは、新天地でどのような活躍を披露するのか、注目だ。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)