コラム 2020.02.20. 18:45

新球団船出のキーマン、亀澤恭平が切り開く琉球の未来

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琉球ブルーオーシャンズ・亀澤恭平

新しい景色


 2月15日、太陽が燦々と降り注ぐ陽光の下、昨年7月に誕生した「琉球ブルーオーシャンズ」が初の対外試合を行った。

 その記念すべき試合のトップバッターとしてスタメンに名を連ねたのが、元中日ドラゴンズの亀澤恭平(31)だ。

 環太平洋大学に野球部の1期生として入学した亀澤は、ブルーオーシャンズでも旗揚げメンバーと、何かと“初モノ”に縁がある。そしてこの日もチーム初めてのバッターボックスに足を踏み入れた。

 結果的にアウトにはなったものの、「ファーストストライクをしっかり振っていき、トップバッターとしての姿を見せることで、チームに積極性を持たせたい」との言葉どおり、初陣を迎えた若いメンバーに打席を通じてメッセージを送った。

 先制点の欲しい3回2死二塁の場面では、「初球を仕留める」と心に決めると、ライト前にクリーンヒット。この一打が、この試合唯一の得点となり、チーム初打点もマーク。初モノ男はここでも真価を発揮し、若いチームメイトに結果を残す姿を見せつつ、記念すべき初勝利の立役者となった。


選手兼任コーチとして


 亀澤に与えられた役職は、内野守備コーチ兼選手。当初は「挨拶ができない選手もいた」と語り、若手には初歩的な部分から徹底指導中とのこと。この日のゲームでも「声出しができない。2アウト・3ボール・2ストライクで走者が走らないなど、初歩的なミスがあった」と、厳しい目で振り返る。

 「僕は打てないことや、エラーをしたことなどでは怒らない。とにかくボール回しなど、小さなことをやり続ける大切さを徹底的に教えています」と、技術面の指導の前段階であることを強調。「試合でも練習でも、できないのはなぜなのかを考えるのは本人次第。わかってくれよという気持ちで伝えています」と自主性を求め、指導に当たっている。

 自らは中日時代、当時二軍監督だった佐伯貴弘氏に指導され、「記憶が飛ぶほど練習した」。周りを見渡しても自分ほど練習した選手はいないと自負すると共に「あの練習があるから今がある」とも実感している。

 最近はコーチ業が忙しく、「自分の練習はあまりできていなかった」が、この日は「7時に来て自分の練習をしました」と、ストイックに準備する姿勢は不変だ。清水直行監督もその姿を目撃しており、「あさ早く来て結果を出す姿に、ほかの選手も刺激をもらえる」と絶賛。亀澤イズムが徐々に浸透していくことで、チームのベクトルはおのずと良い方に向かっていくに違いない。


チャレンジスピリットを持って


 昨年オフに戦力外通告を受けたときのことを尋ねると「平気でしたよ」と、あっけらかんと振り返る。「海外の医療関係の仕事や、色々なところからお話をいただきました」と、第2の人生のスタートに際しては各方面から声がかかっていた。

 大学、独立リーグ、ソフトバンクの育成、中日ドラゴンズと、様々に渡り歩いた経歴と、なにより明朗活発な人柄によるところが大きい。そして自ら選んだ沖縄でのプロ野球選手としての再出発に「いい感じでいきたい。これから暑くなってきますし、身体のケアにも気をつけて」と楽しそうに先を見据える。

 どこのリーグにも属さず、3年を目処にNPB参入を目論む琉球ブルーオーシャンズ。コーチ、そしてプレーヤーとして、“初モノ男”はNPB新規参入最初のチームとなるべく、走り続ける。沖縄から新たな歴史を作り上げていく韋駄天の伝説は、いま始まったばかりだ。


取材・文・写真=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)
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