コラム

注目のロッテ・佐々木朗希はどうなる!? 高卒ドライチ投手の一軍成績振り返り

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ロッテ・佐々木朗=ZOZOマリン (C) Kyodo News

「じっくり育てるべき」という声も多い佐々木だが……


 2018年のドラフト会議では、根尾昂(中日)と小園海斗(広島)を4球団、藤原恭大(ロッテ)を3球団が1位指名するなど高卒野手が注目されたが、2019年のドラフト会議では一転。佐々木朗希(ロッテ)を4球団、奥川恭伸(ヤクルト)を3球団が1位指名するなど、高卒投手に人気が集中した。


 とくに球界や野球ファンからの注目度も高い佐々木に関しては、野球評論家たちもそれぞれに評価を述べている。ただ、その多くは、「まだプロの体になっていない」「将来10年エースを張れる投手にするためにじっくり育てるべき」など、「1年目から積極起用すべきではない」といった内容も目立つ。

 とはいえ、ただでさえ新型コロナウイルスの感染拡大によってシーズン開幕が遅れている今季、フリー打撃で158キロを計測したという報道も相まって「早く一軍マウンドで投げる佐々木を見たい」というファンも多いだろう。

 しかし、新人でも野手より比較的活躍しやすいといわれる投手であっても、高卒1年目から一軍できっちり数字を残すことは容易ではない。ここで、いわゆる分離ドラフトが終わった翌年である2008年から2018年までのドラフト会議で、1位指名を受けた高卒投手のプロ1年目成績(※一軍登板した投手のみ)を振り返ってみたい。

2008年〜18年ドラフト1位高卒投手1年目成績


▼ 赤川克紀(ヤクルト・引退/08年1位)
2009年:1試合(0回)0勝0敗 防御率― 0奪三振

▼ 中村勝(日本ハム・引退/09年1位)
2010年:4試合(18回)1勝2敗 防御率5.50 14奪三振

▼ 今村猛(広島/09年1位)
2010年:2試合(4回)0勝1敗 防御率15.75 0奪三振

▼ 大谷翔平(日本ハム-エンゼルス/12年1位)
2013年:13試合(61回2/3)3勝0敗 防御率4.23 46奪三振
※打者成績:77試合 打率.238 3本 20打点 4盗塁

▼ 藤浪晋太郎(阪神/12年ドラフト1位)
2013年:24試合(137回2/3)10勝6敗 防御率2.75 126奪三振

▼ 松井裕樹(楽天/13年1位)
2014年:27試合(116回 4勝8敗3H 防御率3.80 126奪三振

▼ 安樂智大(楽天/14年1位)
2015年:1試合(6回)1勝0敗 防御率0.00 4奪三振

▼ 髙橋光成(西武/14年1位)
2015年:8試合(44回)5勝2敗 防御率3.07 22奪三振

▼ 小笠原慎之介(中日/15年1位)
2016年:15試合(72回1/3)2勝6敗 防御率3.36 58奪三振

▼ 吉田輝星(日本ハム/18年1位)
2019年:4試合(11回)1勝3敗 防御率12.27 13奪三振


球史に残る数字を残したプロ1年目の阪神・藤浪晋太郎


 11シーズンでプロ1年目に一軍登板を果たしたのは10人。ドラフト1位指名される逸材でありながら、高卒投手が1年目から一軍登板を果たすこと自体、やはりハードルが高いようだ。知名度のある投手でいえば、2009年のドラフト会議で西武から1位指名された菊池雄星(現・米マリナーズ)もプロ1年目に一軍登板することはなかった。

 このなかで突出した成績を残しているのは、藤浪晋太郎(阪神)。大阪桐蔭高を甲子園春夏連覇に導き4球団競合の末に阪神入りした右腕は、佐々木同様に「身長はあるが線が細い」といわれながらもプロ1年目からいきなり2桁10勝をマーク。防御率も2.75と申し分なく、同じくルーキーだった小川泰弘(ヤクルト)、菅野智之(巨人)と新人王を争ったことも大きな話題となった。

 藤浪の10勝という数字は、球史に刻まれた数字でもある。長い歴史のうち、高卒1年目に2桁勝利を挙げた投手はわずか7人しかいないからだ。しかも、そのうち多くは現代野球が確立される以前である1960年代に記録されたものであり、1970年以降となると、16勝を挙げた松坂大輔(西武/1998年ドラフト1位)、11勝を挙げた田中将大(楽天 現・米ヤンキース/2006年高校生ドラフト1位)と藤浪の3人のみである。

 また、1960年代に高卒1年目で2桁勝利をマークした投手も、堀内恒夫(巨人/1965年ドラフト1位)、鈴木啓示(近鉄/1965年ドラフト2位)、江夏豊(阪神/1966年第1次ドラフト1位)と、その多くが「レジェンド」と呼ばれる投手たち。そう考えると、近年は低迷が続いているものの、やはり藤浪が本来持つ潜在能力もレジェンド級だといえるだろう。

 抜群の威力を誇る直球が最大の武器であり、高身長で手足が長い本格派右腕という共通点により、プロ入り前から藤浪となにかと比較されてきた佐々木。もちろん、起用法は首脳陣の考え次第だが、プロ1年目からファンを驚かせてくれるのではないかという期待を胸にシーズン開幕を待ちたい。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)
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