背番号も変わって心機一転、「大王」の2年目に注目
シーズン中に故障者が続出し、まさかの急失速で2年ぶりのBクラスとなる5位に終わった昨季の日本ハム。今季は2016年以来となる日本一奪還を目指しているが、そのキーマンのひとりとなりそうなのが、来日2年目を迎える王柏融だ。
台湾時代は「大王」と称され、2017年には台湾球界史上ふたり目となる三冠王に。その年の打率は台湾球界史上最高となる「.414」を記録した。シーズンオフに行われたアジアプロ野球チャンピオンシップにチャイニーズタイペイ代表として出場すると、打率.333をマークしてベストナインを獲得。2018年オフに、ポスティングシステムを利用して日本ハムへ入団した。
「台湾球界史上最強打者」という触れ込みで入団し、大きな期待を寄せられた王だったが、昨季の成績は88試合に出場して打率.255、3本塁打、35打点。台湾時代は9割を切ったことが一度もなかったOPSも「.647」と低調で、実力を出し切ったとは言い難い成績だった。
しかし、今春のオープン戦では、13試合に出場して打率.300、OPSも「.850」と本来の力が出始めているように見える。また、背番号も前年の99番から3番に変わるなど、心機一転で挑む2020年には期待を持ってよさそうだ。
王の今年を占う意味でも、アジア出身の外国人野手が、2年目以降にどんな成績を残しているのかを振り返ってみたい。
来日2年目の活躍が3年目以降にも直結
検証したのは過去20年(2000年~2019年)のあいだに来日したアジア出身の外国人野手(ドラフト指名選手は除く)の2年目成績である。調べたところ、王柏融を除いて4人の選手が該当した。
▼ 李承燁(イ・スンヨプ)
<ロッテ⇒巨人⇒オリックス>
NPB在籍期間:2004年~2011年(8年)
来日1年目:打率.240 14本塁打 50打点
来日2年目:打率.260 30本塁打 82打点
▼ 李大浩(イ・デホ)
<オリックス⇒ソフトバンク>
NPB在籍期間:2012年~2015年(4年)
来日1年目:打率.286 24本塁打 91打点
来日2年目:打率.303 24本塁打 91打点
▼ 李炳圭(イ・ビョンギュ)
<中日>
NPB在籍期間:2007年~2009年(3年)
来日1年目:打率.262 9本塁打 46打点
来日2年目:打率.254 16本塁打 65打点
▼ 金泰均(キム・テギュン)
<ロッテ>
NPB在籍期間:2010年~2011年(2年)
来日1年目:打率.268 21本塁打 92打点
来日2年目:打率.250 1本塁打 14打点
故障に泣かされた金泰均を除くと、2年目のほうが好成績をマークしている傾向にある。
なかでも来日前年の2003年に韓国球界史上最多となるシーズン56本塁打を放った李承燁は、昨季の王同様、鳴り物入りでロッテへ入団したが、日本球界特有の変化球攻めに苦しんで成績も低迷。しかし、日本の野球に慣れた2年目は、前年からほぼ倍増となる30本塁打を記録。日本シリーズで優秀選手賞を受賞するなど、チームの31年ぶりとなる日本一貢献した。
ちなみに李承燁、李大浩は日本に慣れた2年目以降は毎年のように活躍。3年目にはさらなる好成績を残している。この例を見ていく限り、来日2年目の王は本来の打撃を見せてくれそうな予感がするが、果たして――。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)