コラム 2020.04.09. 07:09

スカウト大注目…東京六大学リーグの「ドラフト候補」

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早稲田大・早川隆久 [提供=プロアマ野球研究所]

注目選手多数の東京六大学


 全日本大学野球連盟は4月2日、臨時の常務理事会を開催。新型コロナウイルス感染者拡大の影響を受けて、6月8日に予定していた全日本大学野球選手権の開幕を8月12日に延期することを発表した。

 この決定を受けて、全国各地の大学リーグも春季リーグ戦の開催について再調整が行われ、東京六大学野球も開幕が5月末以降に延期。試合数を減らして実施を目指していくという。

 ここに来て活動を自粛するチームも出てきているが、今年のドラフト戦線を考えると、中心となるのは大学4年生の選手たち。中でも今回は“東京六大学”に絞って有力選手を紹介していきたい。


1位候補は早大・早川、慶大・木沢&佐藤


 過去3年間のドラフトで、東京六大学から1位指名を受けたのは斉藤大将(明治大→西武/2017年)と森下暢仁(明治大→広島/2019年)の2人だけだったが、今年は複数の選手が1位指名を受ける可能性が高い。

 現時点でその有力候補と見られているのが、早稲田大の早川隆久と、慶応大の木沢尚文、佐藤宏樹という投手3人だ。


 早川は木更津総合に在籍した高校時代から完成度の高さが光るサウスポー。右肩をギリギリまで開かず、ボールの出所が見えないフォームで、コーナーいっぱいを突く制球力が光る。スピードも年々アップしており、昨年は150キロ前後をマークすることも多かった。

 ただし、高校時代のネームバリューや実力を考えると、リーグ戦通算7勝12敗、防御率3.18という数字は少し物足りなさを感じる。試合中盤までは見事なピッチングを見せながらも、勝負どころで踏ん張りきれないというのは課題だ。

 今のままでも1位指名の可能性は高いが、さらに盤石なものにするためにも、最終学年では1年を通じて安定した投球が期待される。


 早川の成績を物足りないと書いたが、木沢と佐藤はともにリーグ戦通算3勝とさらに下回っている。チームの投手陣の層が厚いこともあるが、大きな要因は故障だ。

 木沢は高校時代からの故障を持ち越したまま進学し、昨年秋も故障でわずか1試合の登板に終わっている。ただ、リーグ戦デビューで151キロ、3年春の早慶戦では154キロをマークして7回10奪三振無失点。昨年秋の明治神宮大会でも準決勝に先発して勝ち投手になるなど、要所で強烈なインパクトを残してきたことが高評価に繋がっている。フォームにも目立った悪い癖がないだけに、プロでもさらなるスケールアップが期待できるだろう。


 佐藤も1年秋に3勝0敗、リーグトップの防御率1.03をマークしたが、その後は故障に苦しみ、2年秋にはリーグ戦登板なしに終わった。昨年ようやく復帰し、春は6試合に登板したものの、秋は再び低迷。3年時に万全な状態の投球を見せられなかったという意味では、早川、木沢に少しリードを許しているといえる。

 それでも、デビューした頃のピッチングは躍動感にあふれ、高めに伸びるストレートと鋭く変化するカットボールは見事だった。好調時の投球を再び見せることができれば、1位指名も近づいてくるだろう。


“実戦力”の高さでは、立教大・中川颯が面白い


 3人以外の投手では、慶応大の関根智輝と長谷部銀次、法政大の高田孝一と鈴木昭汰、石川達也、早稲田大の柴田迅と今西拓弥に、立教大の中川颯、明治大の入江大生といった名前が挙がる。


 中でも、総合的なバランスの良さでは入江が一歩リードしている印象だ。

 作新学院時代の高校3年夏は、主砲として甲子園で3本のホームランを放ったが、大学で投手に軸足を移すと150キロ右腕へと成長。全身を使ったバランスの良いフォームが特長で、昨年秋は規定投球回に達しなかったものの、防御率0点台と安定した投球を見せた。森下の抜けた今年はエースとしてかかる期待も大きい。


 “実戦力”の高さでは、アンダースローの中川も面白い。

 1年春からリリーフとしてチームに欠かせない存在となり、早川を上回る現役最多タイのリーグ戦通算8勝をマークしている。左打者に対して弱いのは課題だが、同じタイプの高橋礼(ソフトバンク)がプロでも活躍していることは“追い風”になりそうだ。


 スケールの大きさで注目を集めているのは、身長2メートルのサウスポー・今西。

 典型的な未完の大器で、体の使い方もぎこちないが、指にかかった時のボールの角度と勢いは日本人離れしたものがある。良い時と悪い時の差が大きく、まだまだ課題は多いものの、ぜひプロで鍛えてもらいたい素材だ。


野手の注目は…?


 一方、野手を見てみると、投手に比べると少し寂しい印象。それでも、リードオフマンタイプなら瀬戸西純(慶応大/遊撃手)、滝沢虎太郎(早稲田大/外野手)の2人、強打者タイプなら嶋田翔(慶応大/一塁手)、三井健右(立教大/外野手)などが候補となる。


 この中で、“一芸名人”として面白いのが瀬戸西だ。

 高校時代から定評のあった守備には、大学でさらに磨きがかかった印象を受ける。2年春からショートを任されているが、昨年秋は全11試合に出場して失策0と見事な安定感を見せた。

 課題だったバッティングも年々力強く振れるようになっており、この春のオープン戦では1番も任されている。俊足も兼ね備えており、プロでも中島卓也(日本ハム)のようないぶし銀の選手になれる可能性は十分にあるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所

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