“金の卵”がゴロゴロと…
アマチュア球界にも多大な影響を及ぼしている、「新型コロナウイルス」の問題。今後についても不透明な部分がまだまだ多いが、再び日常の光景を取り戻す日に向けて、選手たちによる不断の努力は続いている。
そんな彼らを応援する意味でも、今年のドラフト会議の中心となりうる大学生の候補選手をリーグごとに紹介していこうというのがこの企画。前回の首都大学野球に続き、今回は関東地区の千葉県大学野球・関甲新学生野球・東京新大学野球・神奈川大学野球の4連盟から注目選手を紹介する。
杉内を彷彿とさせる左腕
入学直後の1年春からエース格となり、昨年春はリーグ2位の5勝をマーク。秋は勝ち星に恵まれず1勝に終わったものの、リーグトップの防御率0.57という見事な数字を残した。
フォームのイメージがぴったり重なるのが杉内俊哉(元巨人)だ。右足をゆっくりと上げて下半身主導で投げられ、リリース直前まで全く上半身に力が入っていないように見える。ストレートは140キロ台前半がアベレージだが、ボールの出所も見づらく、数字以上に速く見える。
社会人入りという噂もあるが、プロ志望届を提出すれば、間違いなく指名に動く球団は出てくるだろう。
実績でその又木を上回るのが、城西国際大の中島隼也(仙台育英高)だ。
昨年は春6勝・秋5勝とフル回転。チームを大学選手権、明治神宮大会出場へ導く原動力となった。
まとまりのある好右腕で、コーナーに投げ分ける制球力が光る。明治神宮大会では疲労の色が濃かったことが心配だが、投手としての総合力は大学球界でも上位だ。
また、実績には乏しいが、中央学院大の高瀬翔悟(湘南工大付高)もサイド気味の腕の振りから140キロ台後半のスピードをマークして注目を集めている。
野手では、打撃に特化した選手だが、昨年秋に三冠王に輝いた敬愛大の石原昂(湘南学院高)のパワフルなバッティングに注目だ。
正捕手候補不在の球団におすすめ!
関甲新学生で上位指名候補と見られているのが、上武大の捕手・古川裕大(久留米商高)だ。
打って守れる大型捕手で、昨年は春・秋ともに4割を超える打率をマーク。2シーズンで8本のホームランを放った。スイングに柔らかさがあり、広角に強く打てるのが魅力。捕手としてもコンスタントにセカンド送球1.90秒前後をマークし、コントロールも安定している。
加えて、ショートを守れる器用さと脚力があり、まさに万能型の選手と言えるだろう。若手の正捕手候補が不在の球団は上位指名の枠を使ってでも欲しい存在だ。
投手では、昨年秋に優勝の原動力となった白鴎大の左右の2枚看板・山田啓太(東海大相模高)と大関竜登(真岡工高)が有力。
ほかにも、高校時代から注目を浴びていた作新学院大のサウスポー・入江空(宇都宮工高)、大型で素材の良さが光る新潟医療福祉大の伊藤開生(成城高)なども候補として挙げられる。
つづいて、東京新大学。ここは創価大の萩原哲(日南学園高)が有力候補となる。
高校時代から強肩には定評があり、大学進学後も1年春から正捕手となると、いきなりベストナインと打点王のタイトルを獲得。その後は少し成績に波はあるが、ホームベースを守り続けている。
素早くコンパクトな腕の振りで強いボールが投げられ、正確なスローイングは大学球界でも屈指。パンチ力のある打撃も魅力だ。
その他には、大型で運動能力の高い創価大の外野手・保科広一(遊学館高)、小柄ながら抜群のスピードとシュアな打撃が光る流通経済大の内野手・橋浦悠斗(文星芸大付高)にも注目したい。
“おかわり君”の再来…?
神奈川大学野球では、大学日本代表候補にも選ばれた桐蔭横浜大の渡部健人(日本ウェルネス高)に注目が集まっている。
175センチ・113キロという“おかわり”タイプの巨漢選手で、最大の魅力はその飛距離。とらえた時の打球の勢いはプロレベルで、リーグ戦では横浜スタジアムのバックスクリーンに直撃する一発も放っている。
昨年は春・秋ともに厳しいマークにあって成績を落としたが、プロでも貴重なタイプの右の強打者として楽しみな存在だ。
リーグ戦の実績で渡部を上回りナンバーワンと言えるのが、関東学院大の外野手・関龍摩(福井商高)だ。
過去6度のシーズンで打率3割以上を5回、4割以上を3回マークしている安打製造機。リーグ戦通算安打数は94本を数える。無駄な動きのないフォームで広角に打ち分ける打撃技術は卓越したものがあり、外野の守備も高レベルだ。
投手では、横浜商科大の藤村哲之(愛工大名電高)が筆頭候補。
下級生の頃はなかなか結果が出なかったが、昨年秋に3勝をマークしてベストナインを受賞。リーグ戦終了後には大学日本代表候補にも選出された。
140キロ台前半のストレートは数字以上の威力があり、サウスポーらしいボールの角度も光る。昨年秋に見せたような投球を今年も継続することができれば、十分にドラフト候補になってくるだろう。
また、昨年春に防御率0.36でベストナインを受賞し、秋にも6勝をマークした関東学院大の松川巧実(沖縄尚学高)も注目の存在。東京六大学や戦国東都と比べるとなかなか脚光を浴びることが少ないところだが、これから化けそうな選手が揃っている。
☆記事提供:プロアマ野球研究所