◆ 「攻撃こそ最大の防御なり」を地でいく西武

 昨季、パ・リーグを制したのは2018年シーズンに続いて西武であった。その最大の武器は、なんといっても驚異的な「得点力」。「山賊」とも称される打線は、12球団ナンバーワンの機動力と、山川穂高、森友哉ら強力な中軸打者によって次々に得点を積み重ねた。その数字は756得点。663得点で2位の巨人に100点近い差をつける12球団でダントツの数字である。

 その一方で、防御率は逆に2年連続でのリーグ最下位だった。「打線は水物」という言葉があるように、「打撃がウリのチームに連覇は難しい」といった声もあるなかでのリーグ連覇は、「取られる以上に取ればいい」とでもいうような強力打線によってもたらされたもの。それこそ、「攻撃こそ最大の防御なり」を地でいくチームといえる。

 では、過去にはいまの西武を凌駕するような得点力を誇ったチームがあったのだろうか? ここで、1990年以降の直近30シーズン延べ360チームにおける「1試合あたりの得点」のランキングを見てみたい。

【直近30シーズン「得点力」ランキング】
※(1試合あたりの得点/レギュラーシーズン順位)
1位 2003年:ダイエー(5.87点/パ1位)
2位 2000年:日本ハム(5.71点/パ3位)
3位 2004年:ダイエー(5.56点/パ1位)
4位 2018年:西 武(5.54点/パ1位)
5位 2001年:近 鉄(5.50点/パ1位)

 ベストファイブにランクインしたのはすべてパ・リーグのチームとなった。もちろん、パ・リーグがDH制を採用していることによる結果だろう。セ・リーグでトップとなったのは2004年の巨人(5.35点/セ3位)で、全体の10位にとどまる。

◆ 近年の「突出度」では西武が群を抜く

 栄えある1位となったのは2003年のダイエーだ。井口資仁、松中信彦、城島健司、バルデスの「100打点カルテット」を中心とした「ダイハード打線」は、プロ野球記録であるチーム打率.297をマークするなど強力そのもの。さらに、井口、村松有人、川﨑宗則の3人が盗塁数でトップ3を独占するなど、機動力も群を抜いていた。

 2位には、若かりし頃の小笠原道大が2番に座る「ビッグバン打線」の日本ハム。この年の小笠原は、打率.329、本塁打31、打点102と、素晴らしい活躍を見せた。また、ベストナインにも選出されたオバンドーとウィルソンの助っ人が30発以上を記録するなど力を発揮。捕手の野口寿浩も3割近い打率を残し、存在感を示した。

 また、5位にランクインしたのが2001年の近鉄。2018年、2019年の西武と同じく、防御率はリーグ最下位ながら、中村紀洋、ローズらによる「いてまえ打線」で、まさに打ち勝ったチームだ。「打撃がウリのチーム」といえば、いまもこの年の近鉄を真っ先に思い浮かべるというファンも多いかもしれない。

 その2001年・近鉄やトップの2003年・ダイエーのほか、6位以降も2004年・日本ハム(5.496点/パ3位)、2005年・ロッテ(5.44点/パ2位)、2004年・西武(5.40点/パ2位)など、ランキング上位を2000年代前半のチームが占める。これは、ファンのあいだで「ラビットボール」とも呼ばれる反発係数の高いボールが使われていたことによる影響だろう。

 そんななかで2010年代のチームとして唯一ベストファイブにランクインしているのが、4位となった2018年の西武だ。また、昨季の西武(5.29点/パ1位)も13位と上位に位置している。近年の西武の得点力が、いかに周囲から抜きん出たものかということがよくわかる数字だ。

 昨年は「3番」だった浅村栄斗が抜けたものの、夏場以降「3番」を務めた森友哉や4番に座った中村剛也の活躍で全体をカバー。さらに今年は「1番」秋山翔吾選手がチームを去り、さらなる底上げや新戦力の台頭に期待がかかるところ。当然、投手力の底上げも必要不可欠だが、リーグ3連覇を果たすために打線の力が必要不可欠となることは間違いない。

 オープン戦では新たな「1番」金子侑司の機動力を生かし、スタイルをシフトした山川が躍動するなど、まずまずの結果を残していた。果たして、2020年版の「山賊打線」はどのような姿を見せてくれるのか――。その時が訪れるのを、いまは楽しみに待ちたいと思う。

文=清家茂樹(せいけ・しげき)



【プロフィール・清家茂樹】 1975年、愛媛県生まれ。出版社勤務を経て2012年独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。野球好きが高じてニコニコ生放送『愛甲猛の激ヤバトーク 野良犬の穴』にも出演中。

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清家茂樹

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