コラム 2020.05.15. 07:09

新型コロナで社会人野球も大打撃…押さえておきたい「ドラフト候補」をピックアップ!【野手編】

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JFE東日本・峯本匠選手 [提供=プロアマ野球研究所]

社会人野球のドラフト候補【野手編】


 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、アマチュア野球はすべての公式戦が止まっている状態。なかでも「ドラフト」という観点で見ると、最も大きな影響を受けているのは社会人野球の選手たちだろう。

 7月に予定されていた「日本選手権」は早々に中止が決まり、その代表チームを決める大会も全て開催されないことになった。また、社会人野球最大の大会である「都市対抗野球」は、新型コロナの感染が問題視される前の昨年5月の段階で、東京五輪の日程に配慮するためこれまでの7月からドラフト会議後へと開幕日が変更されている。公式戦でのアピールの場は、例年と比べて激減していると言えるだろう。

 そんな選手たちを応援する意味も込めて、ここでは社会人野球のドラフト候補選手を紹介していきたい。今回は野手編。


捕手の即戦力候補


 野手は投手の栗林良吏(トヨタ自動車)のような圧倒的上位候補は不在だが、プロで早くから戦力になりそうな選手は決して少なくない。捕手では、吉田高彰(セガサミー)と辻本勇樹(NTT西日本)の2人がディフェンス力の高さで光る。


 吉田は智弁学園高で岡本和真(巨人)らとともに3年時に春夏連続で甲子園に出場。上武大でも早くから正捕手となり、大学日本代表にも選ばれている。

 捕手にしては少し細身だが、素早いフットワークを生かしたスローイングはコントロール抜群で、ブロッキング能力も高い。あらゆるタイプの投手を受けてきた経験も持ち味だ。


 辻本も、仙台大で下級生の頃から正捕手となり、仙台六大学では4度のベストナインに輝いている。体は決して大きくないが、低くて伸びるスローイングとパンチ力が持ち味だ。

 社会人でも1年目から正捕手となり、都市対抗・日本選手権と全試合でスタメン出場。オフに行われたアジアウインターリーグでは社会人日本代表にも選ばれ、プロを相手にも好プレーを見せている。


大阪桐蔭で活躍した“強打のセカンド”に注目


 内野手では峯本匠(JFE東日本)、平山快(JFE東日本)、上川畑大悟(NTT東日本)、高瀬雄大(明治安田生命)、中野拓夢(三菱自動車岡崎)などが候補となる。


 中でも注目度が高いのは、峯本と平山のJFE東日本の2人だ。

 峯本は大阪桐蔭高時代から強打のセカンドとして活躍し、3年夏には甲子園優勝にも大きく貢献。立教大では故障もあって伸び悩んだが、社会人1年目の昨年は都市対抗で大活躍を見せ、新人賞にあたる若獅子賞を獲得。社会人の年間ベストナインにも選ばれた。

 バランスの良いスイングで広角に鋭い打球を放ち、パンチ力も申し分ない。守備の安定感も申し分なく、打てるセカンドとして貴重な存在だ。


 平山は東海大相模高~東海大でも4番を任せられた右の強打者。大学4年の秋には三冠王にも輝いている。

 スイングに柔らかさがあるのが特長で、ボールを飛ばすツボを持っているのも強み。大学までは打撃だけが目立ったが、社会人では守備、走塁の意識が高くなったのもプラス材料だ。


 上川畑と高瀬、中野はスピードとミート力が光るリードオフマンタイプ。派手さはないものの守備も安定しており、チームにとって“いてくれるとありがたい選手”なのは間違いない。


社会人トップクラスの“長距離砲”


 外野手では、今川優馬(JFE東日本)、吉田叡生(Honda)、楠研次郎(東京ガス)、向山基生(NTT東日本)、長沢吉貴(東芝)、逢沢崚介(トヨタ自動車)などの名前が挙がる。


 昨年、最も華々しい活躍を見せたのが今川だ。

 都市対抗では宮川哲(東芝→西武1位)からホームランを放つなど、強打の2番打者として大活躍を見せ、チームの優勝に貢献。峯本ともに若獅子賞、社会人年間ベストナインに輝いた。

 少しアッパー気味のスイングで、ボールに角度をつけるというのが打撃スタイル。その長打力は社会人でもトップクラスだ。


 3拍子そろったタイプでは、逢沢が筆頭候補となる。

 明治大時代は東京六大学で2度のベストナインに輝き、層の厚いトヨタ自動車でも1年目から「1番・センター」に定着。広角に打ち分ける打撃技術とスピード溢れる走塁でチャンスを作り、センターから見せるスローイングの強さも十分だ。

 吉田と楠、向山は打撃が光るタイプで、長沢は抜群の脚力が持ち味の一芸タイプ。外野手が手薄な球団は狙いたい人材である。


 投手に比べると少し派手さはないものの、一昨年は近本光司(大阪ガス→阪神1位)、昨年は佐藤直樹(JR西日本→ソフトバンク1位)と小深田大翔(大阪ガス→楽天1位)がドラフト直前に評価を上げて1位でプロ入りしているだけに、ここで名前を挙げた選手たちも、状況次第では上位候補に浮上してくることは十分に考えられるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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