コラム 2020.05.29. 10:00

山本由伸は続けるか…「防御率1点台」の連続記録

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オリックス・山本由伸

昨季唯一の防御率1点台


 プロ野球の開幕日と共に、練習試合の日程も決定。各球団では紅白戦も行われるなど、待ちに待った開幕に向けて動きが出てきた。

 昨季のパ・リーグで「最優秀防御率」のタイトルを獲得したオリックスの山本由伸投手も26日に行われた紅白戦に登板。2回を投げて被安打1、2奪三振の無失点と上々のピッチング内容を披露した。

 昨季は打線の援護に恵まれず勝ち星こそ「8勝」止まりだったが、防御率は「1.95」と両リーグ唯一の1点台を叩き出した。エースナンバー「18番」を背負う今季は、2年連続での防御率1点台にも期待がかかる。

 先発投手のシーズン防御率1点台は、2000年以降で山本を含めて延べ29人が達成。思いのほか達成者が多いようにも思えるが、2年以上続けた選手となると、わずか3人と一気にレアケースとなる。では、歴代ではどんな投手が2年以上続けて防御率1点台を達成しているのか――。


驚異的な記録を打ち立てたあのメジャーリーガー!


 1950年以降に規定投球回数に到達し、シーズン防御率1点台を2年以上連続で達成した選手たちを探してみると、延べ14人中、9人が1950年代に達成している。というのも、この時代のプロ野球は典型的な「投高打低」だった。

 例えば1956年は防御率1点台の投手が両リーグ合わせて14人もいるが、一方で3割打者は両リーグ合わせてもたったの6人しかいなかった。本塁打も、中西太の29本が両リーグ最多だ。長打が出なかったこともまた、防御率1点台の投手が多かったひとつの要因だろう。

▼ 2年連続…延べ14人
※下記は1960年以降の選手のみ

・金田正一(国鉄)
達成期間:1962年~1963年
期間内の最優秀防御率獲得:0回

・村山実(阪神)
達成期間:1965年~1966年
期間内の最優秀防御率獲得:0回

・大野豊(広島)
達成期間:1988年~1989年
期間内の最優秀防御率獲得:1回

・斎藤雅樹(巨人)
達成期間:1988年~1989年
期間内の最優秀防御率獲得:1回

・内海哲也(巨人)
達成期間:2011年~2012年
期間内の最優秀防御率獲得:0回

 ちなみに2000年以降では内海哲也が達成しているが、統一球が使用されていた期間でもある。1950年代ほどではないが、両年とも防御率1点台の投手が6名も現れたように、投手が有利なシーズンだった。それだけに最優秀防御率争いも熾烈で、内海の場合、2011年はリーグ2位、2012年はリーグ3位だったため、「最優秀防御率」のタイトルを獲得できていない。


▼ 3年連続はふたり

・別所毅彦(巨人)
達成期間:1954年~1956年
期間内の最優秀防御率獲得:1回

・田中将大(楽天)
達成期間:2011年~2013年
期間内の最優秀防御率獲得:2回

 前者は巨人第二期黄金期のエース、そして後者は楽天初の日本一に大きく貢献するなどチームの大黒柱ともいうべき大投手が達成。全体的に投高打低だった1950年代の別所毅彦、統一球が使用された2シーズンを含む田中将大と、2年連続で達成した投手たちと同じ流れにあったとは言えそうだ。


▼ 4年連続は3人
・大友工(巨人)
達成期間:1953年~1956年
期間内の最優秀防御率獲得:1回

・金田正一(国鉄)
達成期間:1955年~1958年
期間内の最優秀防御率獲得:2回

・稲尾和久(西鉄)
達成期間:1956年~1959年
期間内の最優秀防御率獲得:3回

 通算400勝を達成した金田正一や1958年の日本シリーズで大活躍して「神様、仏様、稲尾様」と称された稲尾和久など、いずれも球史に名を残す大投手たちが達成。ちなみに稲尾は、3年連続で最優秀防御率のタイトルを獲得し、4年連続を狙った1959年は防御率1.65を記録したが、杉浦忠(防御率1.40)にあと一歩及ばなかった。


▼ 唯一の5年連続は…

・ダルビッシュ有(日本ハム)
達成期間:2007年~2011年
期間内の最優秀防御率獲得:2回

 先発投手におけるシーズン防御率1点台の最長記録保持者は、ダルビッシュ有。プロ入り3年目、21歳のシーズンだった2007年から5年連続で記録している。最終年こそ統一球が使用された2011年だったが、それ以外のシーズンは特段投手が有利なわけでもなかった。驚異的な成績を残したといえるだろう。

 山本由伸はこの記録をどこまで伸ばしていけるだろうか――。まだ21歳、将来有望な本格派右腕がどのようなピッチングを見せるのか、今季の投球にも注目だ。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)

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