コラム 2020.06.09. 07:09

まさか…プロ野球史上“最も飛距離が短い本塁打”は22メートルだった!

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日本プロ野球における本塁打の“最長飛距離記録”を持つカブレラ (C) Kyodo News

“飛距離”にまつわるエピソードあれこれ


 「新型コロナウイルス」の影響で開幕が3カ月も遅れてしまったプロ野球。そんななかで、過去のプロ野球のニュースを調べてみると、とんでもない珍事が起こっていた。

 今回は、『プロ野球B級ニュース事件簿』シリーズの著者で、ライターの久保田龍雄氏に“打球の飛距離”にまつわる珍エピソードを振り返ってもらった。





「史上最長」は推定180メートル


 プロ野球史上“最長飛距離”の本塁打といえば、2005年6月3日に当時のインボイスSEIBUドームで行われた西武-横浜の交流戦で、アレックス・カブレラが放った推定180メートル弾だ。

 三浦大輔が投じた内寄りのまっすぐを思い切り引っ張り上げると、高々と舞い上がった打球はレフトスタンドはるか頭上の屋根、その鉄骨部分に当たり、左中間のグラウンドにポトリ。衝撃の打球は、フェンスの向こう側にある鉄骨に当たっているため“認定本塁打”となった。

 「鉄骨に当たらなければ、180メートルは飛んでいただろう」ということで、打球が当たった場所には記念のフラッグが飾られている。


 これに対し、プロ野球史上“最も飛距離が短い本塁打”は、1972年7月4日にロッテの千田啓介が南海戦(大阪)で記録したもの。

 2回、山崎裕之の適時打などで2点を先制したロッテは、なおも二死二塁で、千田が三塁線にライナー性の当たりを放つ。打球はサード・佐野嘉幸の前で大きく弾むと、その頭上を越えて左翼線を転々。レフトのスミスがクッションボールの処理にもたつく間に千田はダイヤモンドを一周し、これが「ランニング2ラン」となった。

 この打球が最初に弾んだのは、本塁からわずか22メートルの地点。今なお残る、本塁打の“最短飛距離”記録である。


 ちなみに、海の向こう・アメリカでは、1902年のマイナーリーグの試合で、泥田状態のグラウンド内で打球を見失った結果、「飛距離50センチ」という珍ランニングホームランも生まれている。


推定200メートルなのにシングルヒット?


 次は、史上最長飛距離のシングルヒットだ。記録したのは、これまた西武時代のカブレラである。

 2002年5月6日、東京ドームで行われた日本ハム戦。1-1の9回にクリス・シールバックからレフトの定位置はるか上空の天井を直撃する推定200メートルの大飛球を放つ。

 もし本塁打となれば、1960年にミッキー・マントルが記録したギネスブック掲載の640フィート(195メートル)を抜く世界一になるところだったが、これがローカルルールによりインプレーの判定に。外野のフェアゾーンにある懸垂物に当たった場合は本塁打となるのだが、天井にぶつかったボールが二塁に返ってきたため、本塁打だと思ってゆっくり走っていたカブレラは、一塁にとどまるしかなかった。


 天井直撃といえば、1999年8月24日に巨人時代の松井秀喜が横浜戦(東京ドーム)で放った飛球は、天井に当たった後、マウンドの右側に落下して内野安打に。

 また、巨人の後輩・岡本和真も、昨年5月2日の中日戦で東京ドームの天井に直撃する三塁内野安打を記録しているが、本塁からの距離を考えると、レア度では「天井直撃投前内安」の松井のほうが上ということになるか。


ショートフライなのに推定115メートル?


 “史上最長飛距離の遊飛”という珍記録が生まれたのが、1972年10月21日の日本シリーズ第1戦・阪急vs巨人(後楽園)だ。

 3-1とリードの巨人は、3回一死の場面で3番・王貞治がセンター右に大飛球を打ち上げる。通常ならば中飛になるところだが、これが西本幸雄監督が仕掛けた外野4人体制の“王シフト”により、センターの定位置にいたのはショートの大橋穣だった。

 大橋は手を挙げながら、バックスクリーン手前までゆっくり走り、難なくキャッチ。この瞬間、「飛距離約115メートルの遊飛」が記録された。

 ちなみに、王は「阪急が外野を4人にするシフトをやると聞いていたから、戸惑うことはなかったよ」とまったく意に介さず、このシリーズは16打数7安打の大当たりで、チームの8年連続日本一に貢献している。


 王と同様、“飛距離110メートル級の珍打”を記録したのが、巨人ルーキー時代の長嶋茂雄である。

 1958年9月19日の広島戦(後楽園)、1-1の同点で迎えた5回二死の場面、長嶋は鵜狩好応から左中間席に勝ち越しの28号ソロを放った……否、放ったはずだった。

 ところが、遊撃手の頭上を通過する低い当たりがスタンドに入るとは夢にも思わなかった長嶋は、一挙三塁を狙おうとして、うっかり一塁ベースを踏み忘れてしまい、まさかのアピールアウト。記録は「投ゴロ」に格下げとなった。

 “飛距離110メートル超の投ゴロ”で本塁打を1本損した結果、この年の長嶋は打率.305で37盗塁を記録しながら、29本塁打に終わり、たった1本差で、史上4人目にしてルーキー史上初のトリプルスリーを逃している。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)
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