練習試合では打率.462の好成績
日本ハムの安打製造機・近藤健介が「夢の4割」へ向けて順調な仕上がりを見せて開幕前の練習試合を終えた。オープン戦では打率.229とらしくない数字に終わった近藤だが、それでも四球はしっかりと選んでいて出塁率は12球団8位の「.413」と高く、調子自体は決して悪くなかったのかもしれない。
そこからシーズン開幕が延期されるなかでさらにうまく調整を進められたのか、6月2日からの練習試合ではヒットを量産した。6月11日のヤクルト戦では3打数3安打の固め打ちを披露。前回出場の6月9日の同カードから5打数連続安打とするなど、オープン戦とはちがって今度は「らしさ」を見せつけた。
練習試合では9試合に出場し、無安打に終わったのはわずかに1試合のみ。26打数12安打1本塁打2打点、打率.462という好成績を残し、2020年シーズンの開幕を待つこととなる。
故障がちだったが直近2年連続で規定打席に到達
近藤はプロ9年目の現在26歳。野球選手として脂が乗ってくる年齢といっていい。それこそ球界関係者もファンも期待する大偉業「夢の4割」へ向けて視界良好!……といいたいところだが、新型コロナウイルスの影響により異例ずくめの出だしとなっている今季は、そうスムーズに事は運ばないかもしれない。
なんといっても、近藤にとって最大の敵となるのは日程だろう。3カ月遅れでシーズンがはじまり、本来の予定より23試合少ないだけの120試合が行われる。まだ7月途中までの日程しか発表されていないが、雨などで中止になる試合があることも思えば、シーズン終盤にはそれこそ連戦が続き、中高年層の野球ファンには懐かしいダブルヘッダーが行われることも考えられる。
また、交流戦後の短期の休みや球宴休みもない。過密日程になることは間違いなく、出場選手登録枠やベンチ入り人数が増えることが決まったとはいえ、選手一人ひとりの負担が増すことは確実だ。しかも、近藤はどちらかというと故障がちな選手でもある。開幕から高打率をキープし続け、史上初の4割打者誕生を期待された2017年も、結局、椎間板ヘルニアによって6月途中から3カ月以上も戦列を離れることとなった。
とはいえ、直近2シーズンは、小さな故障はありつつも2年連続で規定打席に到達している。プロとして多くの経験を積むなかで、体がしっかりできあがってきた、あるいはケガをしないためのケアの方法などを身につけたのかもしれない。
また、シーズン120試合と本来の予定より試合数が少ないことも、見方を変えれば高打率を残すためには有利に働く可能性もある。異例ずくめのシーズンだからこそ、これまで誰もなし得なかった大記録を打ち立てられるのではないか――そんな期待を持って今季の近藤に注目したい。
▼ 近藤健介の年度別成績
12年 20試合:打率.192( 26打数 5安打)
13年 32試合:打率.152( 66打数 10安打)
14年 89試合:打率.258(264打数 68安打)
15年129試合:打率.326(435打数142安打)
16年 80試合:打率.265(257打数 68安打)
17年 57試合:打率.413(167打数 69安打)
18年129試合:打率.323(462打数149安打)
19年138試合:打率.302(490打数148安打)
文=清家茂樹(せいけ・しげき)