注目の高校球児【中国・四国地区】
「新型コロナウイルス」の問題により、今年は春・夏ともに甲子園大会が中止となってしまった。
それでも、次のステージで野球を続けようと考えている球児にとっては、これからが本番。各地の代替大会や大学・社会人チームでの練習参加など、それぞれがアピールを続けていくことになる。
プロアマ野球研究所(PABBlab)では、そんな球児たちを応援する意味も込めて、『甲子園で見たかった将来有望選手』と題して、全国の有望株を紹介していきたい。
第5回となる今回は、「中国・四国編」だ。
四国で評判になっている“好投手”とは?
まず、中国地区の投手だが、将来性が高く評価されているのが三方陽登(創志学園高)だ。
体格的なスケールは、先輩の西純矢(現・阪神)にも負けていない。ただ、少しクロスにステップして、そこから体を横に振って腕を振るため、リリースがもうひとつ安定しない。押し出すようなリリースで、高めに抜けやすいのも課題だ。
それでも、指にかかった時の140キロ台のストレートは、打者の手元での勢い十分なだけに、コンスタントに良いボールを続けられるようになるかが夏のポイントとなりそうだ。
三方と同じ本格派右腕で楽しみなのが、久保田大斗(武田高)である。
武田といえば、昨年は150キロ右腕の谷岡楓太(現・オリックス)が話題となったが、スピードでは及ばないものの、フォームのバランスの良さについては明らかに久保田の方が上だ。
少し小さめのテイクバックで上手く肘をたたみ、真上から腕を振り下ろすことができるのが長所。スピードは140キロ前後でもボールの角度は素晴らしく、球の出所が見づらいのも持ち味だ。一塁側に体が流れずに、もう少し捕手に向かってスムーズに体重移動できるようになれば、一気にスピードがアップする可能性が高い。
四国で評判となっているのは、内田悠太(大手前高松高)だ。
昨年夏の香川大会では、背番号11ながら147キロもマークしている。テイクバックで肘がきれいに立たず、体の使い方も少し横回転する点が気になるが、シャープな腕の振りは出色。新チームとなった昨秋は打ち込まれる試合が多かっただけに、最後の夏では成長した姿を見せてもらいたい。
四国の他の投手では、平安山陽(松山聖陵高)や河野勇真(徳島北高)、安岡拳児(高知高)なども将来が楽しみな注目株だ。
鳥取の進学校にプロ注目の素材が…
野手では、宗山塁(広陵高)と岡本大翔(米子東高)、このショート2人が筆頭格か。
宗山は1年秋にレギュラーとなると、中国大会では攻守にわたる活躍でチームの優勝に貢献。昨秋の明治神宮大会では、星稜に初戦で敗れたものの、奥川恭伸(ヤクルト)から2安打を放ち存在感を示した。
上背はないものの体の強さがあり、ミート力だけでなくパンチ力も兼ね備えている。ショートの守備も堅実で、高校生では上位のレベルだ。
一方、岡本は190センチの大型ショート。日本人離れした体格で、まだまだ粗さはあるとはいえ、長いリーチを生かした豪快なスイングは迫力十分だ。
また、投手としても140キロ近いスピードを誇り、強肩も光る。米子東といえば鳥取県内で有数の進学校だが、早くからプロで鍛えてもらいたい素材だ。
外野手では奥野翔琉(明徳義塾高)がNo.1の注目選手。
昨年夏の甲子園では、背番号15ながら5番打者として活躍。新チームではスピードを生かして「1番・センター」に定着し、攻守にわたる活躍でチームの四国大会優勝に大きく貢献した。
持ち味は何といってもそのスピード。内野ゴロでの一塁到達タイムは楽に4.0秒を切り、平凡な当たりでも内野安打にできるだけの速さがある。
明治神宮大会では、中京大中京に敗れたものの、ドラフト上位候補の高橋宏斗から2安打を放ち、そのミート力の高さを見せた。
まだ若干非力な感は否めないが、スピードを維持したままパワーがついてくれば、将来的には十分プロを狙えるだけの潜在能力を秘めた選手と言えるだろう。
☆記事提供:プロアマ野球研究所