コラム

横浜高のサウスポー・松本隆之介がドラ1位候補に急浮上した理由

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横浜高・松本隆之介選手 [提供=プロアマ野球研究所]

スカウト陣も驚愕の変身


 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、残念ながら中止となってしまった今年の全国高校野球選手権および代表校を決める地方大会。それでも、各地で代替大会は行われることになり、早い地域では既に開幕しているところもある。

 プロアマ野球研究所(PABBlab)では、そんな代替大会での活躍が期待される、もしくは活躍が光った選手について、積極的に紹介していきたい。

 今回は、一冬を越えて驚きの“変身”を見せた大型サウスポーについて取り上げる。


昨秋は「ドラフト候補」と呼ぶには物足りない球速


 今年の高校生サウスポーでは高田琢登(静岡商)が高い注目を集めているが、忘れてはならないのが横浜高校の松本隆之介だ。

 そのピッチングを初めて目にしたのは中学時代のこと。神奈川県内の硬式野球チームがNo.1の座を競って行われる『第5回DeNAベイスターズカップ』に、戸塚リトルシニアのエースとして出場。横浜南ボーイズを相手に被安打2、11奪三振で無失点という圧巻のピッチングを見せた。

 当時のスピードは最速133キロと、中学3年の春にしては十分な速さがあり、長いリーチを使った豪快な腕の振りは強く印象に残っている。


 しかし、名門・横浜高校進学後は決して順風満帆だったわけではない。

 1年春からベンチ入りを果たし、2年春には高校日本代表候補にも選ばれるなど、その素質の高さは評価されていたものの、昨年の選抜ではリリーフで2回1/3を投げて被安打5と明豊打線に打ち込まれており、夏の神奈川大会で敗れた県立相模原戦でも、リリーフで打者3人から1つのアウトもとることができずに降板している。

 昨年秋の県大会では、5安打・11奪三振で完封した神奈川工戦を現地で見たが、ストレートの最速は139キロ。ドラフト候補と呼ぶにはかなり物足りない数字だった。


自粛期間が明けて“急成長”


 そんな松本が「大きく変わった」という評判が流れ始めたのは、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ自粛期間が明けた6月からだ。冬の間に体重増加に取り組み、一部報道ではストレートの最速が152キロまで達したとも伝えられたのだ。


 その真偽を確かめるべく、6月27日に行われた桐生第一との練習試合に足を運んだ。

 松本はチームが6点をリードした5回からリリーフでマウンドに上がると、145キロを超えるスピードを連発。二死から四球で走者を許したものの、この回のアウトは全て三振でとって見せた。

 この試合最後のイニングとなった7回に甘く入ったストレートをレフトスタンドに運ばれて1点は失ったものの、許したヒットはこの1本だけ。最終的には3回を投げて被安打1の5奪三振という圧巻の投球で試合を締めた(9-1で横浜が7回コールド勝ち)。


見違えるように力強くなった“腕の振り”


 昨年秋と比べて見るからに体つきが大きくなったが、変わったのはそれだけではない。体重移動のスピードがアップし、腕の振りも見違えるように力強くなった。

 スピードは伝えられていた152キロには達しなかったものの、最速148キロを3球計測。いずれも数字に見合うだけの勢いを感じた。高い位置から腕が振れており、サウスポーらしいボールの角度があるのも大きな持ち味である。


 そして、さらに素晴らしかったのが、スピードアップしたボールをしっかり自分の意図通りに操れていたところだ。

 アマチュア選手が冬のトレーニング期間に体が大きくなることは珍しくないが、アップした出力を上手く制御できず、逆にフォームを崩してしまうこともよく見られる。

 だが、松本は上手く脱力して、リリースに力を集中することができている。高校生の大型サウスポーで、ここまで速いボールをしっかりコントロールできる選手はなかなかいるものではない。

 また、緩急をつける大きいカーブもブレーキが素晴らしく、スライダーやチェンジアップに頼らず打者を抑え込めるのも大きな魅力である。


 冒頭で名前を出した高田も、高校生ではトップクラスのサウスポーであることは間違いないが、潜在能力の大きさ言えば松本に分があるように見える。例えるならば、高田は高性能の国産エンジンで、松本はメルセデス・ベンツの高出力エンジンといったところだろうか。スタンドに集結した9球団のスカウトからも、そのような話が聞こえてきた。

 この日のような投球を代替大会でも見せることができれば、10月のドラフト会議では1位指名の12人に名を連ねる可能性も十分に考えられるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所

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