コラム

甲子園未出場の新鋭校にスカウト陣が熱視線…帝京大可児の152キロ右腕・加藤翼

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帝京大可児・加藤翼選手 [提供=プロアマ野球研究所]

岐阜の新鋭校に注目株


 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、残念ながら中止となってしまった今年の全国高校野球選手権および代表校を決める地方大会。それでも、各地で代替大会は行われることになり、早い地域では既に開幕しているところもある。

 プロアマ野球研究所(PABBlab)では、そんな代替大会での活躍が期待される、もしくは活躍が光った選手について、積極的に紹介していきたい。

 今回は、全国でも指折りのスピードを誇る本格派右腕を取り上げる。


春夏ともに甲子園出場がない帝京大可児


 今年の東海地区といえば、昨年の明治神宮大会優勝投手である高橋宏斗(中京大中京)が頭一つ抜けた存在と言われているが、そんな中でにわかに注目を集めている投手がいる。帝京大可児の加藤翼だ。


 岐阜県の有力チームと言うと全国的な古豪が多く、鍛治舎巧監督が就任して復活を目指している県岐阜商や、甲子園でも実績のある大垣日大、それから中京(※昨年までの校名は「中京学院大中京」)がリードしている状況。帝京大可児は過去に春・秋の東海大会には出場経験があるものの、いまだに甲子園出場は果たせていない。

 しかし、2013年に野球部専用のグラウンドが整備され、2015年には多くの強豪でコーチ・監督経験のある田口聖記監督が就任。さらに2017年からは近鉄などでプレーした田中祐貴コーチ(現役時代の登録名は「ユウキ」)もスタッフに加わるなど、近年はチームの強化が進んでいる。


 ただ、そんなチームにあっても、加藤はここまで目立った実績を残してきたわけではない。

 1年秋から公式戦のマウンドは経験しているものの、昨年の夏は3回戦に1イニングを投げただけ。秋からの新チームでも、同学年に大型右腕の平良拳晨がいることもあって、背番号は7だった。


“最速152キロ”で一躍ドラフト候補へ


 加藤の名前が評判になったのは、秋の県大会後のことだ。11月に“最速152キロ”をマークしたことで、一躍ドラフト候補に浮上してきたのだ。

 ただし、その後は対外試合禁止期間となり、春も公式戦が行われなかったことで、その姿はベールに包まれたまま…。そこで、噂の本格派右腕の実力を確認すべく、6月28日に行われた享栄(愛知)との練習試合に足を運んだ。


 この日は先発のマウンドに上がった加藤だったが、先頭打者にいきなり二塁打を浴びるなど、初回に1点を失う。その後も制球が定まらず、4回までは毎回先頭打者に出塁を許すという苦しいピッチングに。与えた四球は計5つ、球数も80球を数えた。

 高校でかなりウエイトを増やしたとのことだが、まだまだ見た感じは細く見え、178センチと上背もそこまで大きくない。その体で150キロを超えるスピードを投げるということもあって、どうしてもそのフォームはオーバーアクションが目立った。

 特に気になったのが、ステップする時の動きだ。ボールに勢いをつけたい気持ちが強いせいか、体重移動する前に反動をつける動きが入り、上半身も前に突っ込みやすくなっている。その分、リリースもばらつき、高めに抜けるボールが目立った。ステップもやや淡白で、下半身の粘りにも物足りなさが残る。


ほとんどの球団のスカウトが視察済み


 加藤を指導する田中祐貴コーチも、試合後に「今日は全然です」と厳しいコメント。それでも、これだけばらついて毎回ピンチを背負いながらも2失点でまとめたのは、“成長の証”と言えるだろう。

 体の近くで縦に腕を振ることができるため、指にかかった時のボールは上背以上の角度があり、この日も最速147キロをマークしている。3日前の練習試合でも登板しており、中2日ということを考えれば上々の数字だ。

 また、3回に2点目を失った後のピンチでは明らかにギアが変わり、連続三振を奪ったボールは勢い十分だった。また、変化球もブレーキ十分のナックルカーブはなかなか見ない珍しいボールで、強く印象に残った。


 この日は2球団のスカウトが帝京大可児グラウンドを訪れていたが、これまでにもほとんどの球団が視察しているという。公式戦の実績がないにもかかわらず、これだけの注目を集めるだけの素材であることは間違いない。

 残す公式戦は代替大会のみ。その場で成長した姿を見せることができれば、高校からのプロ入りも十分に考えられるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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