今年は“厳しい”目が向けられるアストロズ

◆ シーズンプレビュー【AL西地区 編】

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開幕を見合わせていたメジャーリーグの2020年シーズン。本来の予定から遅れること約4カ月、いよいよ現地時間7月23日(日本時間24日)に開幕が決定。異例の“60試合制シーズン”が、ついに始まる。

 というわけで、新シーズンの見どころや注目ポイントを地区ごとに紹介していこう、というのがこの企画。今回は、ア・リーグ西地区を取り上げる。

 シーズン展望の前に、まずは昨年の順位をおさらいしておこう。

【2019・AL西地区順位表】
1位 アストロズ(107勝55敗)
2位 アスレチックス(97勝65敗)
3位 レンジャーズ(78勝84敗)
4位 エンゼルス(72勝90敗)
5位 マリナーズ(68勝94敗)

◆ アストロズが今年も強い…?

▼ ヒューストン・アストロズ

 2017年、球団初の世界一に輝いたアストロズ。以降、地区3連覇中と強さを誇っているが、オフにサイン盗み疑惑が浮上。全米に衝撃が走った。

 その影響から、今年と来年のドラフト1巡目・2巡目の指名権をはく奪されるなど、処罰を受けて迎える新シーズン。春先のオープン戦では、ホセ・アルトゥーベやアレックス・ブレグマンなど、“疑惑”の目を向けられた選手たちがことごとく不調に陥っていたのは気になるが、実力を発揮できれば大きな得点力ダウンには至らなさそう。

 投手陣も、ジャスティン・バーランダーとザック・グリンキーが健在。ただし、3番手以降はやや不安が残るか。救援陣では、昨季38セーブを挙げたクローザーのロベルト・オズナに今季も期待がかかる。課題は左腕不足だが、それは昨年も同じ。他の4チームに比べても地力は上位で、今季も優勝候補筆頭は変わらない。

▼ オークランド・アスレチックス

 2015年から3年連続で地区最下位に沈んだアスレチックスだが、2018年からは2年連続で97勝を挙げるなど躍進。今季こそ頂点への期待が高まる。

 打線は一塁手のマット・オルソンと三塁手のマット・チャプマン、そして遊撃手のマーカス・セミエンの内野手3人が30本塁打以上を放った。昨季は23試合の出場に終わった二塁手のフランクリン・バレトがブレークすれば、最強の内野陣が完成する。

 投手陣は、昨季13勝を挙げたブレット・アンダーソンが抜けたものの、全体的な若返りに成功。ショーン・マナイアとフランキー・モンタスの活躍次第では、アストロズを逆転する可能性も出てきそうだ。守護神のリアム・ヘンドリックスは昨季75試合に登板して防御率1.80。今季もブルペンを支えるはたらきに期待がかかる。

◆ “2強”を脅かすのは…?

▼ テキサス・レンジャーズ

 昨年は9月12日時点で勝率がちょうど5割だったレンジャーズ。ところが、終盤に負けが込み、最終的には借金8でシーズンを終えた。

 得点数は両リーグ12位と平均以上だったが、三振数が4位と全体的に粗さが目立つ。自身3度目のシーズン30本塁打を放ったルーグネッド・オドルは、もう少し確実性を身につけたいところ。

 投手陣には、サイヤング賞に2度輝いたことがあるコリー・クルバーが新たに加入。昨季は故障の影響で2勝に終わった右腕だが、20勝を挙げた2年前の投球を再現できれば、チームにとって大きなプラスになる。救援陣は、昨季14セーブを挙げたホセ・ルクラークの成長が必要不可欠だろう。

▼ ロサンゼルス・エンゼルス

 昨季は地区最下位こそ免れたが、20年ぶりにシーズン90敗を喫したエンゼルス。2年ぶりの二刀流に挑む大谷翔平が中軸でパワーを見せつけられるか、大きな注目ポイントになりそうだ。

 しかし、打線では主砲マイク・トラウトが今季の欠場を示唆。もし本当にそうなれば、大幅な得点力ダウンは避けられない。

 投手陣も、手術明けの大谷に過度な期待は禁物。そこで注目は、5度の2ケタ勝利を経験しているフリオ・タラン。29歳右腕がエース級の働きを見せれば、チームは5年ぶりの勝率5割も現実味を帯びてくる。投手陣は明らかな頭数不足だが、短縮シーズンを味方に開幕ダッシュで勢いをつけたいところだ。

▼ シアトル・マリナーズ

 昨季は7年ぶりの地区最下位に沈んだマリナーズ。前年から勝ち数を「21」減らし、68勝94敗と苦しい戦いを強いられた。

 チーム打率は両リーグワースト2位と、つながりを欠いた打線は課題。その中で、捕手としてフレーミングに問題を抱えながら、バットでは打率.278に22本塁打をマークしたオマー・ナルバエスをトレードで放出。代わりにトム・マーフィーが正捕手を務めることになるが、そのマーフィーも75試合で18本塁打を放つなど、パンチ力には定評がある。

 投手陣では、菊池雄星と平野佳寿の日本人2投手の奮起に期待がかかる。菊池はメジャー1年目の昨季、開幕直後は好投を続けたものの、5月の“松ヤニ疑惑”後は精彩を欠いた。中4日の登板間隔には適応していたため、慣れが見込める2年目は飛躍する可能性も。平野は開幕直前になって「新型コロナ」感染が発覚。まずはいつ戦列に復帰することができるのか、早期の快復が待たれる。

【まとめ】

 今年も「アストロズの1強」と見られていたア・リーグ西地区。ところが、オフのサイン盗み疑惑から続く流れもあって、他チームにも付け入る隙が出てきそうだ。

 ダークホース候補として挙げるならばレンジャーズ。クルバーが万全なら、この地区は“3強”になる可能性が高い。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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