コラム

「佐々木朗希を打ち砕いた男」…作新学院・横山陽樹の現在地

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作新学院・横山陽樹選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

昨夏のU-18・W杯にも出場


 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、残念ながら今年の全国高校野球選手権および代表校を決める地方大会は中止となってしまった。それでも、各地で代替大会は行われることになり、早い地域では既に開幕しているところもある。

 プロアマ野球研究所(PABBlab)では、そんな代替大会での活躍が期待される、もしくは活躍が光った選手についても積極的に紹介していきたい。

 今回は、あらゆる面で高い能力を誇る“万能タイプ”の野手を取り上げる。


いろいろなポジションを転々と…


 全国的に高い知名度がありながら、これほどまでに実態がつかみづらいドラフト候補も珍しいだろう。作新学院の横山陽樹のことである。

 昨年夏に行われたU-18・W杯では、当時2年生ながら代表メンバー入り。予選リーグ・アメリカ戦で放った一発を記憶しているという方もいるのではないか。

 そんな横山の何が“つかめない”かというと、まずそのポジションである。

 中学時代は捕手だったものの、1年夏の甲子園ではライトで出場。2年春には本職であるキャッチャーに戻ったかと思いきや、夏の甲子園ではセンターで3試合にフル出場。さらに、秋の新チームでは背番号5をつけてサード、もしくはショートを任されていた。


あの佐々木朗希から放った三塁打


 このように、あらゆるポジションを守りながら、打撃で結果を残し続けてきたのが横山の凄さだ。

 1年夏の大阪桐蔭戦では、栃木大会未出場ながらいきなり1番に抜擢されて2安打。2年春に行われた大船渡との練習試合では、3年時でこの時が最も感触が良かったという佐々木朗希(現・ロッテ)から三塁打を放ったことでも話題に。昨年夏の甲子園でも、3試合で6割近い打率を残している。

 しかし、今年の春からは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛期間に入ったこともあって、情報がなかなか入ってこない。横山の話になると、まずはじめに「今はどこを守っているの?」ということが話題となっていた。どうやら「キャッチャーに戻っているらしい」という噂は聞いていたものの、その真相を確かめるべく、7月5日に行われた仙台育英との練習試合に足を運んだ。


 すると聞いていた話通り、この日は「1番・捕手」で出場。ただ一人だけ木製バットを使用していて、その中で仙台育英の注目左腕・向山優太郎から二塁打を含む2安打を放つなど、さすがというバッティングを見せつけた。

 金属バットと比べて反発力が落ちる木製バットを使うと、慣れない選手はどうしても腕力で打とうとするが、横山にはそのような力みが感じられない。タイミングの取り方に無駄な動きが少なく、しっかりと下半身を使って、強引ではなく鋭く引っ張れるというのが大きな特長だ。

 さらに、初回は二塁打で出塁した後、相手のワイルドピッチの間に二塁から一気にホームへ。最終回にも、四球で出塁するとすかさず盗塁を決めるなど、脚力と積極的な走塁も光った。キャッチャーという負担の大きいポジションでありながら、ここまで足でアピールできるというのは見事という他ない。


捕手の守備力はトップクラス


 キャッチャーとしての守備も、イニング間のセカンド送球ではコンスタントに2.0秒を切るタイムをマーク。最速は1.96秒と驚くような数字ではないが、少し余裕を持って投げており、安定したコントロールも目立った。

 時折、投球練習などでミットが流れる時があり、8回にはワンバウンド投球ではあったものの後逸を記録するなど、キャッチングとブロッキングの丁寧さに課題は残ったが、捕手としての全体的な守備能力の高さは高校生では間違いなくトップクラスと言えるだろう。

 基本的には今後は捕手として勝負していくとのことだが、外野だけでなく内野も守れる器用さがあって、これだけ打力と脚力も揃った選手というのは、そうそうお目にかかれるものでもない。

 また、周囲に対しての声かけや指示の声もよく出ており、そういう意味では本職ではないポジションを経験したこともプラスに働いているように見えた。

 進路についてはまだ決めかねているという話だが、もしプロ志望ということになれば、獲得に動く球団が出てくる可能性は極めて高いと言えるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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