6人全員が打率3割超!
3カ月遅れのシーズン開幕から早1カ月…。今季、ここまで目立っている現象のひとつが、「三塁手」の好調ぶり。特にセ・リーグの三塁手は軒並み絶好調である。
その筆頭格が、“鯉のプリンス”こと広島の堂林翔太。今年でプロ11年目を迎えた男は、ここまで21試合の出場で打率.434(83-36)の大暴れ。一気にレギュラーの座を掴んでいる。
また、巨人の岡本和真やDeNAの宮﨑敏郎も、開幕直後は打撃の主要3部門で熾烈なトップ争いを繰り広げ、中日の高橋周平はここに来て残念ながら故障で離脱となってしまったものの、打率.333と好調をキープしていた。
加えて、開幕直後は出遅れた阪神も、ジェフリー・マルテの離脱で巡ってきたチャンスを大山悠輔がしっかりと掴み、チームの急浮上に大きく貢献している。
どうなる?ベストナイン争い
▼ 岡本和真(巨人)
24試 率.330(75-25) 本9 点25
▼ 村上宗隆(ヤクルト)
25試 率.380(92-35) 本3 点21
▼ 大山悠輔(阪神)
20試 率.327(55-18) 本4 点11
▼ 宮﨑敏郎(DeNA)
26試 率.327(101-33) 本5 点18
▼ 堂林翔太(広島)
21試 率.434(83-36) 本4 点15
▼ 高橋周平(中日)
20試 率.333(75-25) 本1 点10
ご覧の通り、全選手が20試合以上に出場して打率3割以上をマーク。シーズン途中からポジションを掴んだ大山だけ規定打席には達していないものの、こんなハイレベルな戦いがいまだかつてあっただろうか…。
三塁手と言えば、ミスタープロ野球・長嶋茂雄の影響もあって、日本では長らく“花形”と言われていた印象も強く、過去を振り返ってみても、強打のスター選手が多く存在した。それでも、ここまで各球団の三塁手がそろって好成績を残すというのは珍しい。
直近の試合でも、横浜スタジアムで行われた巨人-DeNAの一戦では、宮﨑の先制打にはじまり、土壇場9回は岡本が決勝2ラン。甲子園の中日-阪神戦でも、大山が2安打・2打点の活躍を見せるなど、三塁手たちの躍動が目についた。
強烈な打球が多く飛んでくることから「ホットコーナー」とも呼ばれるポジションだが、今季のセ・リーグの三塁は本当に「熱い」──。
まだまだ気は早いが、ベストナインを選出する記者たちも頭を悩ませることになりそうだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)