野手の名産地?
プロアマ野球研究所(PABBlab)では、今年6月から「都道府県別の高校出身で組んだベストナイン」企画を展開。これまで大阪に愛知、神奈川、東京と寄稿してきたが、追加の要望に応えてその続編をお届けしていきたい。
今回取り上げるのは、特に野手の名選手が多い“千葉”。なお、選手の出身地は関係なく、あくまでも「千葉の高校出身」の選手のなかから、独自に選出したものとなっているのでご理解いただきたい。
「千葉の高校出身者」ベストナイン
石井一久(東京学館浦安)
[日米通算] 524試(2717.1回)182勝137敗1セーブ・4ホールド 防3.80
<中継ぎ投手>
五十嵐亮太(敬愛学園)
[日米通算]905試(939.0回) 70勝41敗70セーブ・167ホールド 防3.20
☆現役
※成績は昨シーズン終了時点
<抑え投手>
大塚晶文(横芝敬愛)
[日米通算] 541試(582.2回) 27勝38敗176セーブ・74ホールド 防2.41
<捕手>
相川亮二(東京学館)
[通算] 1508試 率.260(4429-1150) 本69 点475 盗12
<一塁手>
小笠原道大(暁星国際)
[通算] 1992試 率.310(6828-2120) 本378 点1169 盗63
<二塁手>
篠塚和典(銚子商)
[通算] 1651試 率.304(5572-1696) 本92 点628 盗55
<三塁手>
長嶋茂雄(佐倉)
[通算] 2186試 率.305(8094-2471) 本444 点1522 盗190
<遊撃手>
石毛宏典(市立銚子)
[通算] 1796試 率.283(6472-1833) 本236 点847 盗243
<外野手>
谷沢健一(習志野)
[通算] 1931試 率.302(6818-2062) 本273 点969 盗42
福浦和也(習志野)
[通算] 2235試 率.284(7039-2000) 本118 点935 盗10
丸 佳浩(千葉経大付)
[通算] 1232試 率.281(4389-1235) 本174 点629 盗152
☆現役
※成績は昨シーズン終了時点
<指名打者>
掛布雅之(習志野)
[通算] 1625試 率.292(5673-1656) 本349 点1019 盗49
その他候補
<投手>
城之内邦雄(佐原一)
[通算]359試(1977.2回) 141勝88敗 防2.57
鈴木孝政(成東)
[通算] 586試(1788.1回) 124勝94敗96セーブ 防3.49
小宮山悟(芝浦工大柏)
[日米通算] 480試(2336.1回) 117勝144敗4セーブ・7ホールド 防3.74
<内野手>
宇野 勝(銚子商)
[通算] 1802試 率.262(6188-1620) 本338 点936 盗78
和田 豊(我孫子)
[通算] 1713試 率.291(5972-1739) 本29 点403 盗93
<外野手>
飯田哲也(拓大紅陵)
[通算] 1505試 率.273(4564-1248) 本48 点363 盗234
投手は“元メジャーリーガー”がズラリ
投手は名球会入りしている選手こそいないものの、3人ともメジャーリーグ経験者という豪華な顔ぶれとなった。
石井は高校時代から評判の本格派サウスポーで、プロ入り後も1年目から日本シリーズの先発を任されるなど、早くから一軍に定着。最優秀防御率1回、最多奪三振2回などリーグを代表する投手となり、メジャーでも4年間で39勝をマークしている。
中継ぎの五十嵐は、プロで一度も先発していないというリリーフのスペシャリスト。日米通算ではあるが、905試合の登板という記録は歴代4位にあたる。若い頃はとにかく150キロのストレートで押す剛腕というイメージが強かったが、ソフトバンクで日本球界に復帰してからは変化球の割合も多くなった。今シーズンは調整遅れで二軍暮らしが続いているが、また元気に一軍のマウンドに戻ってくることを期待したい。
抑えの大塚は、プロ入り2年目に最優秀救援投手のタイトルを獲得するなど、早くから近鉄の抑えに定着。メジャー移籍を目指した1度目のポスティングシステムでは入札はなかったものの、中日を経て2004年にパドレスに入団すると、いきなりリーグ最多のホールド数をマークするなど活躍を見せた。2006年に行われた第1回WBCでは侍ジャパンのクローザーを務め、胴上げ投手にもなっている。
日本球界を代表する“大物”が並ぶ内野陣
捕手の相川は、谷繫元信がいたこともあってレギュラー定着は遅かったものの、谷繫の移籍後は横浜の正捕手として低迷期のチームを支えた。その後、2度のFA移籍でヤクルト・巨人と渡り歩いたが、両球団でも安定した守備力と勝負強い打撃で活躍。捕手として通算1150安打は立派な数字である。
小笠原は高校通算本塁打0本ながら、社会人で打撃を伸ばしてプロ入り。捕手での入団だったが、打撃を生かして内野手に転向すると、毎年首位打者争いを演じるリーグを代表する打者となった。FAで巨人に移籍後も中軸として活躍し、両リーグでシーズンMVPに輝いている。
セカンドの篠塚は、巨人の歴史でも屈指のヒットメーカー。芸術的な流し打ちを武器に2度の首位打者に輝くなど80年代の巨人を支えた。
サードはもちろん、“ミスタープロ野球”の長嶋だ。ホームランでのサードベース踏み忘れ、天覧試合のサヨナラホームランなど、エピソードには事欠かず、『記録の王、記憶の長嶋』とも言われるが、打撃タイトル獲得13回、MVPは5回受賞など、残した成績ももちろん超一流。特に入団した年から引退した年まで17年連続のベストナイン受賞は史上唯一の大記録であり、今後も破られる可能性は極めて低いだろう。
ショートの石毛は駒沢大時代から強打のショートとして活躍し、プリンスホテルを経てドラフト1位で西武に入団。プロ入り1年目からいきなり打率3割をマークするなどレギュラーに定着して、チームリーダーとして西武の黄金時代を支えた。
ミスター・タイガースも!
谷沢と福浦の2人はファーストでの出場が多かったが、ポジションの兼ね合いで外野として選出した。
谷沢は早稲田大でベストナインに輝くこと6回、さらにリーグ戦通算111安打・18本塁打という大活躍で、ドラフト1位で中日に入団。1年目からレギュラーとなり新人王に輝くと、その後もチームの中軸に君臨。プロ入り10年目の1979年はアキレス腱の故障でわずか11試合の出場に終わったが、翌年は自身2度目となる首位打者を獲得するなど、鮮やかな復活を遂げている。
福浦は投手としてロッテに入団したが、左肩を故障して1年目に野手に転向。2001年に首位打者を獲得すると、その年から6年連続打率3割をマークするなど、パ・リーグを代表するヒットメーカーとして活躍した。晩年は代打としての起用が多かったが、プロ入り25年目の2018年に通算2000本安打を達成。ドラフト最下位指名での達成は史上初のことである。
高校時代には投手だった丸は、野手として評価されてプロ入り。4年目に一軍定着を果たすと、広島のリーグ3連覇に大きく貢献。2017年からは2年連続でMVPにも輝き、FAで巨人に移籍した昨年も中軸として十分な成績を残した。
掛布はサードの名手だが、長嶋がいる都合で指名打者としての選出となった。
ドラフト6位での入団とプロ入り前の評価は高くなかったが、1年目から一軍に定着。年々長打力を向上させ、ホームラン王は3回、打点王も1度獲得するなど、虎の不動の4番として活躍。1985年の日本一にも大きく貢献した。
こう見ると、選出した野手のうち4人が2000本安打をクリアしており、篠塚も通算打率が3割を超えるなど、球史に残る打者を多く輩出している。
また、現役の丸も、年齢を考えれば2000本安打は十分射程圏内と言えるだろう。今後は投手でも200勝、もしくは250セーブを達成するような選手が登場することを期待したい。
☆記事提供:プロアマ野球研究所