ドミニカ出身の21歳が躍動
広島に3タテをくらった巨人だが、依然として貯金は「10」、2位DeNAとのゲーム差も「4.5」と一歩抜け出している。
原辰徳監督の手腕、それに応えるベテラン・中堅選手の活躍はもちろん、今季目立つのが若手選手の活躍だ。中でも渋い働きを見せているのが、育成出身の選手たち。投手では田中豊樹とメルセデス、野手では、増田大輝、松原聖弥らが、それぞれの個性を出してチームに貢献している。
原監督が昨オフに目標として掲げたのが「勝利と育成の両立」だった。若手を起用しながら白星を重ねている今季の姿はまさにそのもの。21日には育成出身のモタが一軍デビューを果たすと、翌日には早くも本塁打を放った。厚くなる一方の巨人の選手層。そんな巨人の二軍には、まだ支配下登録されていない有望な若手野手がいる。
巨人にとっての「秘密兵器」と言えそうなのが現在、巨人の二軍でチームの主要打撃3部門でトップの成績を残しているドミニカ共和国出身の21歳、エスタミー・ウレーニャだ。
昨季は、米大リーグのツインズ傘下1Aでプレーしていた内野手だったが、昨年11月にドミニカ共和国で実施したトライアウト(入団テスト)に合格。投手のナティーノ・ディプランとともに育成選手契約を結んだ。
マイナーリーグでは主に二塁を務め、一塁、三塁、遊撃もこなすユーティリティープレーヤーだったが、来日後は三塁を中心に左翼、一塁などを守っている。育成契約のままではあるが、二軍では堂々4番に座り続け、7月から徐々に本領を発揮。この暑さを苦にもせず、23日現在で38試合に出場し、打率.307、7本塁打、25打点という好成績を残している。
“同期”のディプランは3月末に支配下登録され、一歩先を越された。しかし26歳のディプランに対し、ウレーニャはまだ21歳。外国人枠の問題もあり、当面は二軍でじっくり育てることになるかもしれない。とはいえ、二軍で結果を残しており、将来的に大化けする可能性も高そうだ。
第3次原政権下では、勝利(優勝)だけでなく、若手選手の育成も順調に進んでいる。若い外国人選手の発掘まで成功するようなことになれば、巨人がリーグの覇者としてセ界に君臨し続けることになるかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)