コラム

西武ドラ1・渡部健人が魅せた驚愕の一発…ドラフト指名選手が躍動した「横浜市長杯」を振り返る

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桐蔭横浜大・渡部健人選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

秋の大一番にドラフト指名選手が集結


 プロ野球・ドラフト会議からまもなく1カ月…。指名を受けた選手が続々と仮契約や入団交渉などを行う中、11月22日からは社会人野球の晴れ舞台『都市対抗野球』が開幕したように、ドラフト指名後に“最後の大一番”に臨む選手もいる。


 今回取り上げるのが、11月9日から熱戦が繰り広げられた『横浜市長杯争奪関東地区大学野球選手権』。こちらは首都大学・神奈川大学・千葉県大学・関甲新学生・東京新大学の5連盟の上位2校が集う大会で、例年であれば明治神宮大会の出場権をかけて行われる。

 今年は残念ながら明治神宮大会が中止となってしまったものの、関東地区の大学における大一番はいつも通りに開催。10校が決戦の舞台・横浜スタジアムに集った。

 10月26日のドラフト会議で指名を受けた、「来年のプロ野球選手」も多数出場したこの大会。ここでは、以下の選手たちのプレーぶりを紹介したい。


▼ ピックアップ・プレイヤー
渡部健人(内野手/桐蔭横浜大→西武1位)
森 博人(投手/日本体育大→中日2位)
佐藤 蓮(投手/上武大→阪神3位)
古川裕大(捕手/上武大→日本ハム3位)
萩原 哲(捕手/創価大→巨人7位)
保科広一(外野手/創価大→巨人育成11位)


“おかわり3世”が放った特大の一発


 野手では、西武からドラフト1位で指名を受けた桐蔭横浜大・渡部健人が圧倒的な存在感を見せた。

 初日の第3試合に登場すると、来年のドラフト候補で大学日本代表候補にも選ばれている古田島龍成(中央学院大3年)から、いきなりレフト上段へ突き刺さる特大の一発を披露。「ドラ1」としての貫禄を見せつける。


 渡部はリーグ戦10試合で8本塁打という成績を残しており、古田島も不用意に勝負にいったわけではない。

 まず、初球は外のボールになる変化球で反応を見ている。次に145キロのストレートでファウルを打たせ、そしてそのストレートと同じ軌道からのスライダーでタイミングを外そうという意図はよく分かった。

 しかし、そのボールがわずかに甘く入ったところを、渡部は見逃さなかった。その打球の初速と飛距離は大学野球ではなかなか見ることがないレベルのもので、あわや場外弾というものだった。


 3試合で本塁打はこの1本だけだったが、準決勝ではセンターオーバーの適時二塁打を含む2安打をマーク。決勝戦でも貴重な追加点となる犠牲フライを放ち、4番としてチームの優勝に貢献した。

 パワーにはもともと定評があったが、スイングのキレと柔らかさ、ヘッドスピードは確実にワンランクレベルアップしたように見える。中村剛也、山川穂高に次ぐ“3代目おかわり”との評判は、決して体重113キロの体格だけではない。

 まだステップに粘りがなく変化球に対する脆さはあるが、これだけの長打力はやはり大きな魅力。プロでもその長打力で山賊打線の中軸を担うことが期待される。


中日ドラ2の森博人が躍動


 投手でさすがというピッチングを見せたのが、中日ドラフト2位の森博人(日体大)だ。

 2回戦の共栄大戦。先発と2番手が打ち込まれ、3点ビハインドの5回裏からマウンドに上がったが、3回と2/3を投げて自責点0、3奪三振としっかり試合を立て直してみせた。


 リーグ戦で先発を任されている時は145キロくらいのスピードが多いが、この日はリリーフということもあって立ち上がりから150キロ台を連発。また、ストレートと同じ軌道で鋭く変化する140キロ台のカットボールも、決め球として使える必殺のボールだ。

 フォームは下半身主導。実にゆったりとしたモーションで投げることができ、左肩もギリギリまで開かないため、打者はタイミングをとるのが難しい。

 カットボールと対になるシュート系のボールにまだ信頼感がないのは課題だが、短いイニングであればストレートとカットボールだけで圧倒することは可能だろう。

 中継ぎであれば即戦力として期待できる実力の持ち主で、中堅~ベテランが多くなってきた中日のブルペン陣に新しい風を吹き込むことが期待できる。


阪神3位の佐藤と日本ハム3位の古川は悔しい結果に…


 一方で悔しい大会となったのが、上武大の佐藤蓮(阪神3位)と古川裕大(日本ハム3位)の2人だ。

 佐藤は準決勝の創価大戦で2番手としてマウンドに上がったが、打者11人に7四死球を与える大乱調。試合後には負けた責任を背負い込み、涙する姿も見られた。大会前に調子を落としているという話もあったが、リーグ戦と違って全くリリースが定まらなかった。

 しかし、スピードに関しては最速152キロをマークしており、ボールの勢いはさすがというものがある。ブレーキのあるカーブも面白いボールだ。制球力をつけて、リリーフとして一軍定着を目指したい。


 古川は初戦でマスクを被り、準決勝は一塁手として、いずれも4番で出場。準決勝では第2打席にセンター前ヒットを放ったが、2試合で7打数1安打に終わった。

 特に、最後の打席は来年のドラフト上位候補である鈴木勇斗(創価大)の150キロ台のストレートに完全に力負け。空振り三振で終わっただけに、悔しさもひとしおだろう。

 この悔しさをバネに、プロの世界で“打てる捕手”を目指してもらいたい。


巨人の「育成11位」が存在感


 創価大の保科広一は、巨人の育成11位という評価ながら「1番・指名打者」として3試合で5安打・5打点の大暴れ。存在感を見せている。

 187センチ・89キロという恵まれた体格を誇り、それでいて高い運動能力があるというのが魅力。しかし、タイミングのとり方や走塁のスタートなどは、まだまだ素質のままプレーしているという印象が強い。プロでは全てにおいて壁にぶつかることが予想されるが、持ち前のスピードとパンチ力を生かし、まずは三軍で結果を残したい。


 保科のチームメイトである萩原哲(巨人7位)は、リーグ戦中のケガの影響から出場なしに終わったが、幸い重症ではなく、合同自主トレやキャンプには間に合う見込みだという。

 こちらも古川と同様に強肩強打が売りの捕手だけに、どちらかに特化することなく、攻守両面を伸ばしてもらいたい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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