コラム

一気に来秋のドラフト注目候補へ!新興大学に現れた「アーム式」の大型右腕

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共栄大・小向直樹選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

共栄大に期待の新星登場


 史上初の“リモート開催”が話題になった2020年のドラフト会議から早1カ月…。入団合意や仮契約のニュースも日に日に多くなり、各地で注目選手たちの“プロ1年目”に向けた準備がはじまっている。


 一方で、2021年に向けてのドラフト戦線も既に動き始めている。プロアマ野球研究所では、いち早く来年のドラフト候補も取り上げていきたい。

 今回は、新興勢力の大学に登場した大型本格派右腕を紹介する。


▼ 小向直樹(共栄大)
・投手
・185センチ/75キロ
・右投右打
・埼玉県立桶川高校出身

<主な球種と球速帯>
ストレート:141~151キロ
スライダー:124~128キロ
ツーシーム:131~136キロ
チェンジアップ:111~118キロ


高校時代は全くの無名…


 11月9日から行われた、『横浜市長杯争奪関東地区大学野球選手権』。首都大学・神奈川大学・千葉県大学・関甲新学生・東京新大学の5連盟上位2校が集う大会で、例年であれば明治神宮大会の出場権をかけて行われる。

 今年は残念ながら、新型コロナウイルスの感染拡大で明治神宮大会は中止となったが、通常通り10校で横浜スタジアムを舞台に行われた。


 この大会に東京新大学リーグの2位で出場した共栄大は、大学野球ファンでなければ、あまり聞きなじみのないチームだろう。系列である春日部共栄の方が、高校野球の強豪として知られている。

 しかし、ここ数年は力をつけており、2016年から2年連続で春季リーグを制して全日本大学野球選手権に出場。そんな新興勢力に現れた来年のドラフト候補が、今回紹介する小向だ。


 出身は埼玉県立桶川高校で、高校時代は全国的に全く無名の存在。高校3年夏もエースとして県大会に出場しているが、2回戦で敗退と目立った成績は残していない。

 だが、共栄大進学後は体重の増加とともにスピードもアップ。昨年行われたこの大会でも初戦で敗れたものの、リリーフとして140キロ台後半のストレートを披露している。

 さらに、今年の秋にはエースとなると、リーグ戦11試合中9試合に登板するフル回転の活躍。チームの2位躍進に大きく貢献した。


 9日に行われた開幕ゲームでは白鴎大と対戦。先発した小向は最初に投じたストレートでいきなり150キロをマークすると、その後もエンジン全開で140キロ台後半のスピードを連発。序盤の3回をパーフェクト、5奪三振という圧巻の投球を見せた。

 3回までに投じたストレートは19球あったが、そのうち17球が147キロ以上。平均球速は147.95キロに達した。残念ながら、自己最速の151キロは更新できなかったものの、これだけのスピードボールを続けられる投手はなかなかいない。

 中盤以降は少しスピードダウンしたものの、最終的には8回を投げて被安打3。1四球で10奪三振の無失点という圧巻のピッチングで、チームの勝利に大きく貢献した。


巨人・戸郷のような「アーム式」の投法


 フォームはテイクバックの動きが大きいことが特徴的だ。

 肘があまり前に出ず、いわゆる“アーム式”と呼ばれる腕の振りに近い。イメージとしては、今年ブレイクした戸郷翔征(巨人)を、さらに真上から振り下ろすような投げ方にした、と想像してもらうと良いだろう。


 このアーム式の投げ方というのは、「肩に負担がかかる」と常々言われてきたが、最近、少し見直されてきていることも事実である。それは逆に肘を使いすぎるあまり、肘を故障する投手が増えていることが影響していると言えるだろう。

 実際、戸郷や山本由伸(オリックス)はあまり肘を使わないフォームで投げている。それぞれの体に合った投げ方があるため、単純に決めつけることはできないが、小向に関しては肩の可動域が広く、これまでも故障とは無縁とのことであり、今の投げ方にあまり嫌な印象は感じられなかった。

 また、テイクバックが大きい投手というと高めに抜けるボールが目立つことが多いが、小向はリリースでしっかりと抑え込むことができており、低めのボールの勢いも申し分ない。185センチの長身と長いリーチを最大限に生かしているとも言えるだろう。


フォークのようなツーシームも魅力的


 ストレート以外にも非凡なものがあるのが大きな魅力だ。

 中心となるのは、130キロ台中盤のフォークのように落ちるツーシームだが、ストレートと同じ軌道で鋭くブレーキがかかるため、低めに決まると打者は思わず空振りしてしまう。

 それに加えて、110キロ台の緩いチェンジアップもあり、縦の変化球で球速差をつけられるというのは非常に大きい。また、120キロ台後半のスライダーもしっかり腕を振って投げられ、鋭く斜めに変化するボールだった。


 翌日の日本体育大戦でもリリーフとして登板し、2回1/3をノーヒットで5奪三振と好投。3連投となった桐蔭横浜大戦では、ストレートが走らずに5回途中4失点で負け投手となったとはいえ、この大会で残したインパクトは絶大なものがあった。

 大学で体重が増えたと言っても185センチ・75キロという体格はまだまだ高校生のような細さだが、逆に言えば、ここからまだまだ伸び代があるという裏返しでもある。

 この大会でつかんだ手応えと悔しさを糧に、来春にはさらに成長した姿を見せてくれることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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