コラム

意外な選手もランクイン!? 2020年シーズンの「QS率」上位投手ランキング

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阪神の西勇輝 (C) Kyodo News

コロナ禍のシーズンを支えた頼れるエースたち


 何もかもが異例で特別だったコロナ禍のシーズンが終了。各球団では契約更改がスタートし、それぞれが設定した様々な指標を用いた査定結果による交渉が行われている。

 そして近年、先発投手の価値を測る指数として注目されているもののひとつに、クオリティスタート率(以下、QS率)がある。勝ち星や防御率に関係なく、先発投手がどれだけ試合をつくることができたかを測るもので、6回以上を投げて自責点を「3」以内に抑えることで成立する。

 先発登板数に対してどれだけクオリティスタートが多いかで先発投手として安定しているかがわかり、当然ながらその率が高いと中継ぎや抑え投手を酷使せずに済む。今季のように過密日程になった際には、その価値がさらに高まるだろう。チームにとってはありがたい存在であることは間違いない。


後半巻き返した千賀と最高のスタートをきった涌井


 今季は延長も10回までと制限されたため、どのチームも後ろから逆算して投手を注ぎ込むことも可能となったなか、優れたQS率を残した投手は誰だったのか−−。規定投球回に到達した投手のみではサンプルが少な過ぎたので、ここでは規定投球回の2/3にあたる、90イニング以上を投げた投手を対象とした。まずはパ・リーグから。

<1位:77.78%>
▼ 千賀滉大(ソフトバンク)
今季成績:18試合登板 11勝6敗 防御率2.16(121回)
QS率:77.78%(18試合中14試合)

▼ 山本由伸(オリックス)
今季成績:18試合登板 8勝4敗 防御率2.20(126回2/3)
QS率:77.78%(18試合中14試合)

<3位:70.00%>
▼ 涌井秀章(楽天)
今季成績:20試合登板 11勝4敗 防御率3.60(130回)
QS率:70.00%(20試合中14試合)

<4位:66.67%> 
▼ 石川歩(ロッテ)
今季成績:21試合登板 7勝6敗 防御率4.25(133回1/3)
QS率:66.67%(21試合中14試合)

▼ バーヘイケン(日本ハム)
今季成績:18試合登板 8勝6敗 防御率3.22(111回2/3)
QS率:66.67%(18試合中12試合)

▼ 上沢直之(日本ハム)
今季成績:15試合登板 8勝6敗 防御率3.06(97回)
QS率:66.67%(15試合中10試合)

▼ 二木康太(ロッテ)
今季成績:15試合登板 9勝3敗 防御率3.40(92回2/3)
QS率:66.67%(15試合中10試合)

<次点:65.00%>
有原航平(日本ハム)
今季成績:20試合 8勝9敗 防御率3.46(132回2/3)
QS率:65.00%(20試合中13試合)


 投手タイトルを争った千賀滉大と山本由伸が奪三振数(149個)と同じく、ともにリーグトップで並んだ。

 年間を通じて安定していた山本に比べると、出遅れた千賀は序盤、調子が上がらず、開幕から9登板を経過した時点でのQSは「55.55%」。しかし、9月8日からの後半9登板ですべてQSを達成し、一気にQS率を上げた。一時は無縁に思われたタイトル争いにもキッチリ絡み、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手三冠を達成している。

 惜しかったのが3位の涌井秀章。開幕から絶好調で、8月終了時点で10試合に登板して8勝1敗、QS率は90.00%とほぼ完璧な状態だった。ところが10月以降は、登板した5試合のうち2度ほど6回までに降板。シーズン終盤の3登板はいずれも4失点以上と苦しんだ。

 また、石川歩と二木康太が4位タイに食い込んだロッテは、90イニング未満だった投手でも、途中加入のチェンが4試合に登板してQS率100%(26回)、故障により戦線離脱となった種市篤暉が7試合に登板してQS率85.71%(46回2/3)と安定した投球を見せ、チーム別のQS率ではロッテがリーグトップの数字(51.67%)を残した。今季は中継ぎの奮闘が目に付いたロッテだが、先発投手もしっかりと役割を果たしていたことがわかる。


大野&菅野より優秀なQS率をマークした西


続いて、セ・リーグの投手たちを見ていく。

<1位:80.95%>
▼ 西勇輝(阪神)
今季成績:21試合登板 11勝5敗 防御率2.26(147回2/3)
QS率:80.95%(21試合中17試合)

<2位:80.00%>
▼ 大野雄大(中日)
今季成績:20試合(148回2/3) 11勝6敗 防御率1.82
QS率:80.00%(20試合中16試合)

▼ 菅野智之(巨人)
今季成績:20試合(137回1/3) 14勝2敗 防御率1.97
QS率:80.00%(20試合中16試合)

<4位:77.78%>
▼ 森下暢仁(広島)
今季成績:18試合(122回2/3) 10勝3敗 防御率1.91
QS率:77.78%(18試合中14試合)

<5位:71.43%>
▼ 福谷浩司(中日)
今季成績:14試合(92回) 8勝2敗 防御率2.64
QS率:71.43%(14試合中10試合)

<次点:68.42%>
▼ 大貫晋一(DeNA)
今季成績:19試合(113回2/3) 10勝6敗 防御率2.53
QS率:71.43%(19試合中13試合)


 最多勝の菅野智之、沢村賞の大野雄大を押しのけてトップに立のが阪神の西勇輝。接戦を落とすことが多く勝ち星こそ11勝だったが、登板した21試合中、6回より前にマウンドを降りたのはたったの一度という抜群の安定感で試合を作った。

 上位3投手は球界を代表する3投手であり、ある意味では当然の結果と言えるかもしれない。そんな中で素晴らしいパフォーマンスを披露したのが、広島のドラ1ルーキー・森下暢仁。二桁勝利をマークし、防御率も驚異の1点台、8割近い試合で試合を作るなど、圧巻の成績だった。また、規定には及ばなかったものの、中日の福谷やDeNAの大貫も来季の先発ローテーションでは中核を担う存在となりそうだ。

 その他にも90イニング以下ながら、阪神の髙橋遥人(12試合でQS率75%)、DeNAの平良拳太郎(14試合で71.43%)といった投手たちも奮闘。来季のさらなる活躍に期待がかかる。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)
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