コラム 2020.12.28. 19:30

セ・リーグに残された重要な宿題【白球つれづれ】

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巨人・原監督 (C)Kyodo News

白球つれづれ2020~第52回・セ界情勢


 コロナ禍に揺れた2020年の野球界がまもなく新しい年を迎える。

 同時にセ・リーグにとっては、またしてもパ・リーグとの力の差を見せつけられた1年でもあった。ソフトバンクと巨人との日本シリーズでは2年連続で4連敗。直近の10年間でセの1勝9敗、13年以降は8連敗中の数字からも優劣は明らかである。

 そこで、オフに話題を集めたのが指名打者制度(DH制、以下同じ)の導入問題。12月14日のセ・リーグ理事会の席上、巨人は山口寿一オーナー名で来季の暫定的なDH制導入を提案するが、反対が多く見送られた。すると、同オーナーは新たな提案も含めた代案を用意して新年1月19日開催予定の理事会に再び再検討を呼びかけたものだ。

 過去にも何度か議論に上がったセのDH問題だが、大きな話題を呼んだのは19年の日本シリーズ敗北後の巨人・原辰徳監督の発言だった。

 「我々はDH制というので相当、差をつけられている感じがある。(セ・リーグも)使うべきだろうね」。

 DH制のメリットは数々挙げられる。野手の出場機会増加による攻撃力のアップ、外国人選手起用の選択肢拡大、そして何より投手の打席がなくなることでより攻撃的でスリリングな野球が実現する事だろう。

 パの投手の方が全般的に快速球を投げるパワー型が多いと言われるのも、下位まで強打者が揃うので必然的に投手の成長も促す。西武がリーグ2連覇した18~19年の打線は7番・栗山巧、8番・中村剛也、9番にE・メヒアが名を連ねたこともある。辻発彦監督の狙いは打線の中にふたつのクリーンアップを作ることで破壊力アップを狙ったものだ。逆に投手は代打を送られることがないのでベンチからすれば交代のタイミングは計りやすい。


巨人の挑戦は続く!?


 現場の声を後押しする形でDH制採用に舵を切った巨人。山口オーナーはセの他球団に根強い反対論も意識しながら、次回の理事会ではコロナ禍の選手の負担軽減を前面に打ち出したうえで来季限定の短期導入や調整の難しい春先や交流戦までの期間限定案などを再提案するという。

 これに対して反対の立場を唱える声も多い。セの各球団の中にはリーグの独自色を大切にすべきとするものや、指名打者という10人目のレギュラーを抱えることで新たな経費増を危惧する向きもあるようだ。さらに、少年野球育成の観点から「投げるだけ」「打つだけ」でいいのか?という議論もある。

 過日、スポニチ紙上で掲載されたアンケートではDHを「採用すべき」が46.6%に対して「すべきでない」が47%(その他6.4%)と拮抗している反面、プロ野球選手会が行ったアンケートでは9割以上が導入に賛成している。
セパの野球の違いをDH制以外に指摘する者はソフトバンクの存在を上げる。

 12球団でいち早く三軍制度を整え、育成システムを完成させたことが黄金軍団の最大の因、直近10年間で7度の日本一がそれを証明する。その最強チーム打倒に立ち向かうからリーグ全体の底上げにもつながっているというわけだ。

 かつて、パ・リーグの球場はどこも閑古鳥が鳴いていた。“人気のセ”に対して“実力のパ”と強がってもそれを証明する場はオールスターか日本シリーズに限られていた。そこに突破口となったのがDH制とセパの交流戦だった。全国に散らばったフランチャイズが根付いたのも大きい。その昔、巨人とオープン戦1試合を組むだけでキャンプの費用が回収されると言われた。それほど巨人の人気は絶大で影響力は絶対だった。しかし、時代と共に球界の勢力図も変わる。

 コロナ禍の選手の負担軽減が目的なのか?それとも将来的に継続してDH制を採用していくのか? またはこれからも拒否し続けていくのか? メジャーリーグではア・リーグに続いてナ・リーグのDH制も本格議論されている。セの方向性は単にリーグにとどまらず、野球界全体の問題にも発展する可能性がある。

 激動の21年は巨人の“お願い”から始まる。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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