王者の補強は!?
オフにおけるファンの大きな楽しみのひとつといえば、新外国人の獲得といった各球団の補強だろう。
2020年シーズンを制したソフトバンクは、22歳のキューバ代表右腕、アンディ・ロドリゲス投手と大筋で合意しているとの報道があったものの、ここまで補強に関する正式な発表は行われていない。ペナントレースでは2位・ロッテに14ゲーム差をつけ、4年連続日本一に輝いた圧倒的な強さと、実績十分な既存外国人選手たちが控えていることも理由のひとつだろう。
もちろん、ソフトバンクを追いかける立場にある他球団にとっては、ここでの戦力補強は必要不可欠なもの。新外国人選手の補強に関してはコロナ禍ということもあり難しい部分もありそうだが、新年を迎えたこのタイミングで一旦、現時点におけるパ・リーグ6球団が新たに獲得した選手(新人と育成契約選手を除く)を見ていきたい。
【パ6球団新加入選手】
▼ ソフトバンク
・なし
▼ ロッテ
・アデイニー・エチェバリア(前米ブレーブス/内野手)
▼ 西武
・吉川光夫(前日本ハム/投手)
▼ 楽天
・アダム・コンリー(前米マーリンズ/投手)
・ブランドン・ディクソン(前米タイガース/内野手)
▼ 日本ハム
・ロビー・アーリン(前米ブレーブス/投手)
・ロニー・ロドリゲス(前米ブルワーズ/内野手)
▼ オリックス
・能見篤史(前阪神/投手)
セ6球団の計21人獲得に対し、パ6球団の補強はわずか7人
ここまで、パ・リーグ6球団の補強はセ・リーグと比べておとなしめとなっている。パ6球団が獲得を発表したのは計7人。1月3日時点で、22名の新戦力獲得を発表しているセ・リーグと比較すると、その違いは歴然だ。セ・リーグでは全球団が複数の選手を獲得しており、阪神とヤクルトに至っては1球団で5人の新加入選手を迎え入れている。
とはいえ、もちろんパ・リーグの新加入選手のなかにも野球ファンの関心を引く選手はいる。その筆頭となると、ロッテが獲得したアデイニー・エチェバリアになるだろうか。メジャーで7球団をわたり歩き、通算9シーズン922試合出場という数字は、ここに挙げた新外国人のなかでは圧倒的な数字。メジャー通算での打撃成績は打率.253、37本塁打、778安打。長打は多くないものの、広角に打ちわけられる器用さを持ち合わせている。
その器用さは、内野の複数ポジションを守る守備にも発揮される。しかも、ただ守れるだけではない。キューバリーグ時代にはキューバ代表の遊撃手であるルイス・ナバスの控えだったものの、打撃好調時にはナバスを二塁にまわしてエチェバリアが遊撃で起用されていたほどの守備力を誇る。高い身体能力から「鳥人」と呼ばれ、その守備力は、マーリンズ時代に同僚だったイチローをも驚かせたという。
また、楽天が獲得したブランドン・ディクソンも面白い。もちろん、オリックスに所属する投手のブランドン・ディクソンとは別人だ。楽天が獲得したディクソンは主に一塁を守る内野手。ただ、2019年シーズンには捕手と遊撃を除く内外野の複数ポジションを守り、投手としても2試合に登板するなど、高いユーティリティー性を誇る。試合展開にもよるだろうが、ファンを驚かせるような起用法があるかもしれない。
ここに挙げたのは、球団が獲得を公表した選手たち。ただ、この他にも昨季は楽天でプレーしたステフェン・ロメロの「再獲得」にオリックスが動き、大筋で合意したとの報道もある。開幕までの各球団の補強策、そしてもちろん開幕後の新加入選手の活躍にも注目したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)