今季から石井一久GM兼監督が指揮
2月1日のキャンプインを目前に控えた2021年のプロ野球。新型コロナウイルスの感染拡大により無観客でのキャンプスタートや、今季も延長10回での打ち切り等が決まるなど厳しい状況が続いている。
そんな中、オフシーズンも様々な話題を提供してくれるのがプロ野球であり、今オフに最も多くの話題を提供してきた球団の一つが楽天イーグルスになるだろう。
優勝候補にも名前が挙がった昨季は、開幕ダッシュに成功。最後まで西武、ロッテとAクラス争いを繰り広げたが、一歩及ばず4位でシーズンを終えた。するとチームは三木肇監督に見切りをつけ、僅か1年で二軍監督に再配置する人事を敢行。石井一久GMが兼任する形で新監督に就任した。
また、石井GM兼監督は、ヤンキースからFAとなっているOB田中将大が日本復帰を希望する場合は、獲得に乗り出すことを明言。その動向が日々メディアを賑わせている。
課題の救援陣に“守護神”が復帰
8年ぶりのV奪還を狙う楽天だが、昨季後半に失速してしまった要因の一つが救援陣の層の薄さだった。昨季、逆転負けを喫した試合数は両リーグワーストの「32試合」。勝利の方程式を再構築することは最重要課題だ。
昨季途中から守護神を務めたブセニッツは、リーグ4位の18セーブを挙げ、ホールド数もチーム2位の13個をマークしたが、奪三振率は6.55と高くない。チーム最多の22ホールドを記録した牧田和久も奪三振率は5.94で、どちらかと言えば打たせて取るタイプ。そこで石井監督が守護神に指名したのが、25歳という若さで通算141セーブを誇る松井裕樹だ。
松井は昨季、先発ローテーションの一角として開幕を迎え、先発した10試合では3勝3敗、防御率3.66と数字はそこそこながら、6回もたずにマウンドを降りるケースが多かった。その後、シーズン終盤にチーム事情もありリリーフに回ると、18試合で1勝2敗8ホールド2セーブと安定したピッチングを披露。シーズン後に指揮官とも話をし、チームにとって最良の形を考えて再び後ろにまわることを決意した。
【松井裕樹、年度別成績】
2014年 27試合、4勝8敗、0セーブ、防御率3.80
2015年 63試合、3勝2敗、33セーブ、防御率0.87
2016年 58試合、1勝4敗、30セーブ、防御率3.32
2017年 52試合、3勝3敗、33セーブ、防御率1.20
2018年 53試合、5勝8敗、5セーブ、防御率3.65
2019年 68試合、2勝8敗、38セーブ、防御率1.94
2020年 25試合、4勝5敗、2セーブ、防御率3.18
守護神として臨む今季は、2年ぶりのセーブ王を目指すことになるが、その実力に加えて嬉しい傾向もある。上記を見ての通り、松井はプロ入り以降、奇数年は防御率が1点台以下という“無双ぶり”を続けおり、この流れが続くのならば、今季は守護神として大車輪の活躍を見せてくれることだろう。
東日本大震災から10年という節目を迎える今季、チームの「日本一」へ向けて一心不乱に腕を振るう狗鷲の守護神に期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)